第4話

すぐ、冬休みになった。年明けすぐに行われるという冬大会に、環ちゃんのお兄さん(宏樹ひろきさんというそうだ)も出場されるらしく、3人で見学に行くことにした。

冬大会の日。朝。

大会会場が駅から遠いみたいで、9:00に会場の最寄り駅に集まった。私はいつも朝早いけれど、2人はそうでもない(というかいつもギリギリ)なのでとっても眠そうだ。

「おはよう〜眠そうだね」

「おはよーっうん。まあ大丈夫っ」

それでも依莉は元気そうな声だ。

「おはよ…」

一歩遅れて消え入りそうな声で返事したのが、環ちゃん。本当に朝は弱そうだ。

3人で大会会場に向かう。どこかの学校を借りて行っているみたいだ。

会場に着いて、受付に向かう。

「おはようございます。見学の方ですか?」

「おはようございます。はい。連絡しました、梅泉学園のものです。」

「今日はわざわざありがとうございます。ディベートに興味を持っていただけるのは嬉しいことですね。では、こちらの方にお名前をお書きいただけますか?」

「はいー」

代表として受け答えしていたのは、依莉。こういう時はちゃんとしてるのよね…。

プログラムを受け取って、出場校を見る。慧進高校はもちろんある。

あとは…。慧進高校と並ぶ大学附属高もあるし、梅泉のような進学校もある。

そして、気づいた。

「男子校ばっかり…。」

出場校、8校のうち、共学が2校、あとは全て男子校で、女子校は1つもなかったのだ。

「まあ、ね、いいじゃん知り合いいるんだしー!」

「依莉はいいよ…。誰とでもすぐに話せるもん。私は…。」

環ちゃんも頷いてくれた。

「…とりあえず、見てみよう?ディベート。」

確かに。来た目的を果たさなくっちゃね。

プログラムによると、今ちょうど開会式をやっているようだ。10:00から第1試合が始まる。慧進高の対戦相手は……芦北高校だ。

両方強そうだな…。そう考えながら、私達は試合が行われる部屋に向かった。

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