第13話 最後の戦い
「そうか…。それは仕方ない。死ね」
猛然とこちらに向かってくる、白い
『ブレイン』はその両手を
「『止まれ』っ!」
真奈美の言霊に影響を受け、そのスピードを減じる事が出来たが、焼け石に水。何発かの貫手は、俺たちの身体を掠めた。
「『
真奈美が言霊を叩きつけるが、言霊を
カイは猛牛のごとく突進し、狙い定めて爪牙を突き立てようとする。しかし『ブレイン』は、身体を右にずらし、爪牙の挟み込みの隙間を縫う形で避ける。目標を失ったカイは、大きくたたらを踏んで向き直る。
さらに俺の攻撃。影を薄く細く伸ばし纏わせ、両手に持った短剣に幾筋にも添わせて、刃の
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ジリ貧だった。
あれから数合、攻防が重ねられたが、向こうの攻撃は僅かながら当たり、こちらの攻撃は
俺は意を決する。
両手に持った短剣を逆手に持ち、影を身体に纏わせて、ノーガードでゆっくりと『ブレイン』に歩いて行った。
「ちょ…。ガウルさん! 何を…」
真奈美の静止も聞かず、そのまま歩を進める。
「フン! 死に急ぎたいか? ならばトドメをくれてやろう!」
『ブレイン』は構え、右手を貫手の形にし、真っ直ぐ俺に突進する。
そして、『ブレイン』の右手が俺の胸板に向かって放たれる。
ドムッ!
ドス ドスッ
俺の胸板を貫く『ブレイン』の右貫手。その手を引き抜くより早く、影の力で無理矢理に俺の両腕を動かし、短剣二本を『ブレイン』の右腕に突き立てたのだ。
「捕ま…えた…」
やっとの思いで声を絞り出し、勝利を告げる。その状態のまま追撃として、足元の影が持ち上がり幾筋もの薄い刃と化して、『ブレイン』の腹を四方から突き刺す。
ザクッ ザクザクザクッ
「『
狙い済ましたように、真奈美が言霊を放つ。狙いは『ブレイン』の右膝。
ボムッ
鈍い破裂音と共に膝が折れ、その場に膝から崩れ落ちる。
そして『ブレイン』の背後から襲いかかるのは、カイ。牙は肩口に、両方の爪は脇腹に突き立てられ、更なるダメージを与える。
「ウガァァァァアアァァァァ!」
凄まじい激痛だろう。しかし俺とカイを振り解こうと、強引に身体を捻る。『ブレイン』の執念だ。
無理矢理に振り解かれ、俺とカイは
「わ…私は…まだ…」
更に立ち上がり動こうとする『ブレイン』。しかし、力が入らないように膝から座り込んでしまう。
「な…なんだ…コレは…」
『ブレイン』は両手を見つめる。その指先は、砂粒に変化し、サラサラと崩れ始めていた。身体が崩壊して行っているのだ。その現象が、身体の端から全身に及ぼうとしていた。
「あ…ああ…。私は…私はまだ…」
身体の崩壊は体幹まで及び、1分も経たずに『ブレイン』の身体は砂の山と化した。その頂上には、柔らかな脳髄と、光を無くした只の水晶のようになった『賢者の石』が置かれていた。
戦いは、
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