第51話 誓い
宮子は振り向こうとしたが、寛斎がバランスを崩してしまうので、やめておいた。
彼の肩につかまったまま、前方を見る。うっすらと、白い
――
古事記によると、
――
日ごろ祈りを捧げている神に、心の中で祈念する。
「
「その背負うている娘を、大事にするか」
怒るというより、どこか寂しそうな声だった。
前を行く
寛斎も立ち止まる。頭上に、神々しい気配を感じた。
振り返った寛斎は、坂の下へ向かって大声で言った。
「
頭の芯が甘くしびれる。すぐそばにいる寛斎の鋭い目や通った鼻筋、浅黒い肌が、見えないはずなのに見てとれる。神々しく、淡い光を放っている。
彼はきびすを返し、再び走り始めた。その肩に回した手に力を入れ、体をぴたりとつけてしがみつく。
「では、その娘を
涙混じりの叫び声が、後ろからした。
地面の鳴動がやみ、静かになる。
前方に、光が見える。先ほどまではびくともしなかった巨岩に、隙間ができている。淡い光が漏れ入る。
寛斎が、宮子の足を持つ手に力を入れる。スピードをあげ、光に向かって突き走る。どうしても動かなかったはずの
寛斎に背負われて、宮子は
まばゆい光が、洪水のように二人に押し寄せる。体の中まで照らされるような感覚につつまれ、宮子は意識を失った。
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