その057「友達6」


「姉ちゃん姉ちゃんっ!」

 学校帰り、友達と一緒の姉ちゃんを見かけたので、今日も今日とて僕は姉ちゃんのことを呼ぶんだけど。

「え……なにこの子、かわいいっ!?」

 その姉ちゃんの友達に、いきなり抱きつかれてしまったぞ!?

「ねえねえ、誰この子!? 姉ちゃんって言ってたけど、弟さん!?」

「そうよ。ちょっと歳離れてるけどね」

「う、お、うぬぅ……」


 めっちゃ撫でられる僕。


「うはー、かわいい! 柴犬みたい! 持って帰りたい! ダメ!?」

「ダメよ」

「あふ……」


 しかも、この撫で具合、なんだかすごい力が抜けていく……!


「キミはキミで撫で心地いいんだけど、この子もこの子で極上ですなっ」

「ホント好きね、そういうの」

「おぅ、ふ……」


 え、なに、やだ、これ……!


「しかも大人しいから、いくらでもモフモフ出来ちゃうっ!」

「大人しいと言っても、普段はもっと活発よ。ほら、あなたも何か挨拶……って」


 すんごい、気持ちいいいいいぃっ!?


「無防備なお腹を徹底的に撫で回されたわんこみたいに、なんだかものすごい惚けた顔してる!? 大丈夫!?」

「くっくっく、あたしのテクニックに早くもメロメロね」

「人の弟を勝手にペット化しないでくれる!?」

「大丈夫、あたしのペットはキミだけよ」

「なった記憶ないわよ!?」



「んじゃ、まったねー」

 散々モフられた後に、姉ちゃんの友達と別れたんだけど。

「…………な、なんだったんだ、あの人。すんごいテクニシャンだったぞ」

「誰にだってそうよ。ああいう風に撫でる時、なんというか、こう……ものすごい、ツボを押さえてきてて……それが、クセになっちゃうのよね……」

「姉ちゃん、毒されてるぞ」

「っとと……あ、メールだ。『弟くんに、今度また会って、ゆっくりお話しようって伝えといて』だって」

「う……ま、まあ、あんまりまともに話せなかったから、別に構わないけど」

「『追伸。よければ友達になって、また思う存分モフらせてちょうだい』だって」

「ひいぃっ!?」

「よかったわね、また新しくお友達が出来たわよ」

「ノ、ノーサンキューだぞっ!?」

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