その047「友達5」
「姉ちゃん姉ちゃんっ!」
今日も今日とて、僕は姉ちゃんのことを呼ぶ。
「……その新発見を伝えるわんこのように呼んでくる、ということは」
「新しく友達が出来たっ!」
「やっぱり――――っ!?」
なんで姉ちゃん、悲鳴じみた声を上げてるんだ?
「姉ちゃん、大丈夫だよ。怖くなーい怖くなーい」
「私なんでアヤされてるのよ……いやまあ、理由は明確だけど」
「ほらほら、これこれ」
「ううう……」
本当に恐る恐るの状態で、姉ちゃんは僕のスマホを見る。
「……あれ? 誰も映ってないわよ?」
「え? ちゃんと映ってるじゃん」
「いや、本当に映ってないんだって。背景だけの写真だわ」
「姉ちゃん、とぼけたこと言ってないで」
言って、僕はスマホの画面を見る。ちゃんと映ってるのになー。
「しょうがないなぁ。んじゃ、ちょっとスマホの明るさを上げよう。これでどう?」
「あ……なんだか、うっすら見えてきたような……んん……」
まだ要領を得ない姉ちゃん。
「じゃあ、別の写真を……これでどうだ! ツーショット!」
「…………なんだか、あなたの肩に手だけ見えてるわ。な、なにこれ」
「え。そりゃ、肩組んでるんだから当然だろうよ」
「……………………」
姉ちゃん、何故か顔が青くなってるぞ
「じゃあこれは? 給食のワンシーン!」
「……スプーンが浮かんで見えるわ」
「じゃあこれ。二人でEXI●Eポーズ!」
「……足が四本に見えるわ」
「これは? 二人で変顔!」
「なんか顔だけ映ってる――――っ!?」
とうとう姉ちゃん、発狂してしまったぞ。
「完っっ全な心霊写真よね!? あなた、幽霊とまで仲良くなっちゃったの!?」
「姉ちゃん、幽霊だなんて、そんなファンタジーなもの居るわけないじゃん」
「宇宙人とか神様に知り合いが居るあなたがそれを言うの!? ……って、そうじゃなくて、あなたおかしいと思わないの!?」
「んー、確かに存在感が薄いのが最近の悩みって言ってたけど……」
「やっぱりそうじゃない!」
「あと、最近の自分の中で、挨拶のトレンドはウラメシヤーだって言ってたよ」
「そんなオーソドックスな!?」
「しょうがない。そこまで言うなら、今度連れてきて証言してもらおうっ! 会うとき、決まってヒュードロ音が鳴るけど!」
「ノーサンキューよっ!?」
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