その044「雲」
「姉ちゃん姉ちゃん」
今日も今日とて、僕は姉ちゃんのことを呼ぶ。
「なに? 野原に寝そべって日光に目を細めるわんこみたいになってるわよ」
「あの雲って、何に見える?」
「雲……?」
ボーッと空を見ている僕につられて、姉ちゃんもそちらを見ると、
「――――!?」
姉ちゃん、思わず仰け反った。
「あの長さ。あの太さ。反り具合。なおかつ先端の丸っこさ。どう見ても、ち――」
「ば、バナナよ! きっとバナナだわ!?」
「それだと、先端の丸いのが説明付かなくない? となるとどう見ても、ち――」
「じゃあ、ゲームセンターのレバーよ!?」
「いや、長さが足りない。だから、ち――」
「なら、野球ボールを投げようとしているピッチャーの右腕部分よっ!?」
「それだと、反りの方に若干の問題があるぞ。やっぱり、ち――」
「だ、ダメっ!? これ以上はダメよ!?」
「地方出張で今オージーアニマルランドに来ている、アフリカ象のハリソンくん(オス・5歳)が、飼育委員さんからリンゴをトスされてキャッチした時の鼻の形に似てるよなー」
「……………………」
あれ? 姉ちゃん、制止のポーズで固まってるぞ。
「姉ちゃん、僕が何を想像したと思ったんだ?」
「なんにも、ない、わよ……」
「ヱー、姉ちゃん、教えてよー」
「うるさい。もうこの話はおしまいよ。わかった?」
「うーん……あ、わかった、チンコだなっ!? チンコを想像したんだなっ!? 確かにチンコに見えるなっ!」
「結局言ってんじゃないわよっ!? あと、れ、れ、連呼すんなっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます