その028「チーム」
「姉ちゃん姉ちゃんっ!」
今日も今日とて、僕は姉ちゃんのことを呼ぶ。
「……そんな、お願いを訴えるために目を潤ませてくるわんこみたいに呼んできても、困るんだけど」
「? なんでお願いがあるってわかったんだ?」
「わかるわよ」
おお、さすが姉ちゃん。僕のことなら何でもお見通しってことかっ!
「まあ、言ってみなさい。出来るだけ協力して上げるから」
「うん。次の日曜日、隣町の小学校との親睦会で開かれるバスケの試合に、僕が助っ人として頼まれたんだけどさ」
「へぇ。じゃ、当日は応援に行ってあげるわね」
「まだ欠員があるから、姉ちゃんも出てくんないかな」
「……待って。なんで私が。小学生の試合でしょ?」
「だって、姉ちゃん、見た目ではまだ通じるからさ」
「泣くわよ!?」
「でも、頼めるのは姉ちゃんしかいないんだ。お願いだよ……」
「う…………ま、まあ、しょうがないわね。なんとか誤魔化してみるわ」
「ありがと、姉ちゃん! 姉ちゃんが居れば百人力だよ!」
「……私、運動苦手だから、戦力としては期待しないでね?」
「うんっ!」
「はっきりと肯定されると、それはそれでムカつくわね……」
「ちなみに、僕達の残りのチームメイトはこの三人なっ!」
「…………待ちなさい。この面子、あなたが最近友達になったっていう、例の宇宙っぽい人と、例のヒグマと、例の男装女子じゃない!? なんつーラインナップでチーム組んでるのよ!? しかも、スマホの画面の中でものすごく仲良さそうなの、一体何なのっ!?」
「チーム名・ギャラクシーナチュラルボーイズ!」
「どこからツッコミを入れていいの、そのチーム名!?」
「というわけで、頑張ろうな、姉ちゃん! 早速、今から練習に行こうぜ! 外で、みんな待ってるし!」
「急に辞退したくなったんだけど……って、外? ……なんか、円盤みたいなのが空中で待ってるっ!? ホントに存在してたの!?」
「家までの送迎も任せろ、だって!」
「これ、送迎の合間で絶対に何かされるパターンなんだけど!?」
そういうことで。
ちゃんと練習できたから、当日の試合はうちのチームが勝ったぞっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます