その023「背丈」

「姉ちゃん姉ちゃんっ!」

 今日も今日とて、僕は姉ちゃんのことを呼ぶ。

「……なんだか、舞い上がってグルグル回転するわんこみたいだったわね、今。で、どうしたの?」

「今日、身体測定があって、去年より背がすんごい伸びてたっ!」

「へえ……え? ひゃ、百五十センチ台? まだ小学生なのに? 高校生の私を、もう、追い抜いたって、いうの……?」

 あれ? 姉ちゃん、かなり打ちひしがれているぞ。

「……まあ、男の子だもんね。このまま、どんどん大きくなりなさい」

「うん、百九十センチくらいになるぞ!」

「それはちょっと伸びすぎじゃないかな……」

「で、姉ちゃんを肩に乗っけて、●愚呂(姉)とかやってやるぞっ!」

「ヤメテ!? ビジュアル的にも扱い的にも悲惨になるからヤメテ!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る