その020「物憂げ」


「姉ちゃん姉ちゃん……」

 今日も今日とて、僕は姉ちゃんのことを呼ぶ。

「なによ……って、これまた今にも熟睡しそうなわんこみたいね」

「うん……ふぅ……」

「え? 本当に呼んだだけ?」

「うん……」

「え、ちょっと、どうしたのよ。いつもの元気がないじゃない。何かあったの?」

 姉ちゃん、ちょっと心配そう。

「いやー……何で乳首の見える見えないで興奮の段階が分かれるのかなって」

「心底どうでもいいわよ!?」

「登山してて、山頂が見えてくるのと見えないのとでは、テンションが違うじゃない?」

「何かいい例えをしているような気がしていたら、大間違いだからねっ!?」

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