その013「料理」


「姉ちゃん姉ちゃんっ!」

 今日も今日とて、僕は姉ちゃんのことを呼ぶ。

「大好物を与えられてご満悦なわんこみたいなのはいいけど、今は食事中よ」

「姉ちゃんの料理はやっぱ美味いなっ」

「……そう? ありがと」

 クールを装ってるが、まんざらでもない姉ちゃんだ。

「この腕なら、将来、姉ちゃんは店開けるぞっ」

「それは少し大袈裟よ。……でも、まあ、小さな食堂くらいなら出来るかも……」

「それで、僕は毎日残飯もらいに行って食費を浮かすぞっ」

「やめなさいっ! 私がいろいろ恥ずかしい上に、あなたがいろいろ情けない感じになるからやめなさいっ!」

「大量にもらえたら、友達誘ってパーティするぞっ!」

「それ、めちゃくちゃ嫌な図だからねっ!? 残飯パーティって呼び名だけでも嫌だからね!?」

「じゃあ、0円●堂的な名義にすれば――」

「それ以上はダメよっ!? 恐れ多すぎてダメよっ!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る