その006「ケーキ」


「姉ちゃん姉ちゃんっ!」

 今日も今日とて、僕は姉ちゃんのこと呼ぶ。

「なによ、好物に目を輝かせるわんこみたい……というか、実際に目を輝かせてるわね。どうしたの?」

「お母さんがケーキ買ってきて、まずは僕たちに選ばせてくれるんだって! 姉ちゃん、どれにする?」

「お、おおおおぅ」

 これには、姉ちゃんも目を輝かせてるぞ。

 僕はいそいそとケーキのケースを開けて見せた。

「イチゴ」

「ふむ」

「チーズ」

「ふむ」

「チョコ」

「ふむ」

「モンブラン」

「……ふむ!」

「よし、姉ちゃんはイチゴだな!」

「違うわよ!? 空気読みなさいよ!?」

「んじゃ、僕はモンブラン!」

「しっかり取っていかないでよ!? あ、あーっ!? 私の、私の金色の宝石が!? あーっ!」

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