その005「本」


「姉ちゃん姉ちゃんっ!」

 今日も今日とて、僕は姉ちゃんのことを呼ぶ。

「なによ、道端で拾い物をしてきたわんこみたいに呼んできて」

「エロ本拾った!」

「……文字通りだけどデンジャーな拾い物ね」

「うはー、すごいなこれ。どうよ姉ちゃん」

「なんで見せてくるのよ……でも……これは、うん、確かに、なんというか……」

「姉ちゃん、すげーガン見だな」

「……はうぁっ! ち、違うのよ!? こ、これは……そう、こういう書物が出回っててけしからんという意味で……!」

 おー、姉ちゃん、顔どころか耳まで真っ赤だ。

「姉ちゃん、ハブ ア ムッツリエッチ」

「ムッツリエッチってなに!? そんなんじゃないからっ!?」

「かと言いつつ、あとで全ページ読破してそうだよなっ!」

「しないわよっ!?」

「姉ちゃん、ハブ ア ムッツリクイーン」

「女王にまで進化させないでっ!?」

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