第24話
***
ベッドの中で目を覚ますと、彼女は僕の腕の中にいた。まだ静かな寝息をたてながら、その小さな体が上へ下へと動いている。僕は彼女の頭の下に回り込んでしまっている腕を抜こうと、できるだけ小さな動きでそれに試みてみたけど、そこで起きた本当に小さな振動で彼女は目をゆっくりと開けてしまった。
「ん……」
「ごめん、腕を抜きたいんだ」
「……ああ、ごめん」
彼女が軽く頭を上に上げている時に、僕はその場から自分の腕を引いた。強い痺れを感じていて、腕全体の感覚がほとんどなくなっていた。真っ直ぐに伸ばしてやると、血が通うじんわりとした感覚が静かに腕全体に広がった。
「昨日、いつ寝たんだろう……」
「分かんない。なんか突然寝ちゃってたよ。私も知らない内に寝ちゃってたけど」
昨夜、自分がどのタイミングで寝てしまったのか、どうしても思い出すことが出来なかった。
「ああ、そうだ。確か話の途中でいきなり寝ちゃったのよ」
「話の途中……」
それで、頭の中を捜索していると、僕はやっと昨日の夜あいつの話をしていたことを思い出した。それまで、自分があいつの話をしていたことさえ完全に忘れてしまったままだったのだ。
■古びた町の本屋さん
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