第10話
「本当にないんだ」
「それはあなたが気付いてなかっただけなんじゃないの?」
「ああ……」
自分が気付いてない理由によって友達が離れていったことが明確だったとしても、僕自身それに気付くべきなのか、そうするべきではないのかよく分かっていない。一つ言えるとすれば、今僕はその理由が分かっていないという事実が明確であるということくらいだった。
「……どうなんだろう」
「でもさ、友達が一人もいないってどういう感覚なのかな?私も別に友達は多い方ではなかったけど、一人もいないって訳じゃなかったから」
「そう……」
高校生の時の自分が見えた。高校生の自分をこんなにも客観的に見たのは初めてで、それは自分が思っていた自分とほとんど差異がなかった。それでは余計に、皆が僕から離れていった理由が分からないままだ。
「まあ、私は少し状況が皆とは違ったけどね」
「え?」
僕はそう言ってすぐにその意味を理解し「ああ……」と溜息のように言葉が重く零れた。
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