第19話

「…確かに私達は母親を探して欲しいという依頼を受けております。」

ルナが言った。

「しかし、守秘義務があり、確証が無いまま、また、クライアントの許可なくしてクライアントの情報は口外は出来ません。」

ヒナが続けた。二人は顔を見合わせて笑い、声を合わせて続けた。

「全ての答えは、加奈さんと奥様の次女様がご存知です。」

ミィがにゃーんと機嫌良く鳴いた。

「そして、さくらが、ね。」

ウィンクと供にそう付け加えたのはルナである。

「そんなわけで、今日のところは失礼致します。奥様。」

そう言って二人は颯爽と夫人と加奈の両脇をすり抜けた。

すり抜けざま、ルナが加奈に囁く。

「後は、お任せしましたよ。」

夫人の想いがさくらにあると決定的になった以上、加奈が行動を渋る理由は何も無い。自分たち他人が関わるよりも、さくらの親友である加奈がお膳立てした方が絶対に良いと二人は確信していた。


 そうして、二人は見えないはずの桜吹雪を見ていた。季節はこれから冬になろうというのに、春来る、である。

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