第20話
それからしばらくして、探偵事務所に一通の手紙が届いた。手紙には写真が同封されていた。彰子夫人と加奈、さくら、そしてミィが映っている。
さくらはまだ修道院にいるそうだが、他の道も考えつつあると手紙には添えてあった。
「三人とも、いい笑顔よね。」
ヒナの手の中の写真を見てルナが言った。
「うん。皆丸く収まって良かった。」
「本当。」
「にゃーん。」
ヒナの声の後に猫の声が入った。
「あー…またか…」
ミィは何故かあの後、探偵事務所に来るようになってしまったのだ。
「しかし…連れて来たこともないのに良くここを見つけたわよね。」
そんなルナの言葉を他所にちりりん、と首輪の鈴を鳴らしてミィはソファに上がると丸くなった。
あの事件以来、迷子札付の赤い首輪をするようになったのだ。
「まぁ、私は猫好きだからいいけど。」
「そうね。別に何を悪さするでもなし。」
そう言ってルナはキッチンへ消えた。
「それにしても賢いねぇ。お前。」
そう言ってヒナもミィの頭を撫でて立ち上がった。
「賢い…そういえば…」
ミィが自分たちを連れて修道院に導いたようなものだ。ミィが自分たちを連れて行かなければ、この事件の解決はもっと時間がかかったかもしれない。
そもそもミィはどうしてあの修道院に行ったのか。そして、さくらに懐いていたのか。
「まさか…ね…」
そう言ってヒナがミィを見下ろすと、ミィはちらりと片目を開けてヒナを見て。
にやっと笑った、ような気がした。
了
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