第13話

 だが、結局、ミィはつかまらなかった。と、いうのは、逃げられた、ということではなく、さくらに懐いて離れなかったのだ。

 さくらの話では一月ほど前、ふらりと修道院にやってきたのだという。最初は誰にも懐かず、近寄ると逃げてしまっていたが最近はさくらにべったりなのだそうだ。だからといってずっと修道院にいるわけではなく、時々ふらっと現れてはいなくなる、そんなことを繰り返していた。だが、確かにここ一週間はずっと修道院に居るようで、よく見かけていたとさくらは言った。

「全然人に慣れていない風だったので、飼い猫とは思いませんでした。」

と、言うのが、さくらを含め、修道院のシスター達の見解だった。首輪もしていないのだから無理も無い。とりあえず、無理に連れて帰る事も出来ず、二人はその日は諦めて帰路に着いた。

「で、どうする?報告する?」

「他所の子になってました、って?それも…言いにくいのよね…」

「修道院では、多分、返してくれるだろうけど…」

「まぁ、とりあえず、明日も行ってみようか。」

「どっちに?」

「うーん…」

二人は黙ってしまった。さくらからの依頼もある。そっちを何もせずに修道院に行くのも行きづらい。かといって報告するにはまだ早いような気もする。二人は沈んでいく夕日を見つめながら言った。

「明日になったら考えよう。」

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