第11話

「母親を、探そうと思ったこともあったんです。でも、探しようがないじゃないですか。」

そこまで言ってさくらは二人を見た。

「…探偵さん…なんですよね?」

「…ハイ。」

何となく、先が読める。だが、今聞いた情報の限り、かなりの難題である事に代わりはない。

「ここでお二人に出会えたのもマリア様のお導きですわ。」

そう言うとさくらは、胸の十字架を握り締め、マリアに祈りを捧げた。

「母を…母を捜してはいただけないでしょうか。」

必死の眼差しで若くて可愛い女性に頼まれると、二人は嫌とは言えなかった。

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