第4話
二人は草むらを駆け下りた。普段、そんな気配も見せないヒナもルナと同じだけの身体能力がある。何も言わずに二人は猫を挟むように陣取った。
だが、猫のほうが一枚上手だった。二人に挟まれることなく、逆に川原の土手を駆け上った。追っても間に合わない。
猫は土手の上で一度立ち止まり、二人を見た。そしてにゃーん、と、一声鳴いて土手の向こう側に消えた。
「白…かった。」
「うん。」
先に気付いたのはルナだった。その黒猫の尻尾の先は、僅かに白かった。
「あれの可能性が高いね。」
「うん。」
二人は顔を見合わせて頷いた。今日は逃してしまったが、全く見えなかった手がかりが見えてきた。
「また、来ようよ。」
「そうね。」
二人は笑顔で立ち上がった。
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