第34話 プロジェクションマッピング
「さて……レベルもスキルも足りてない。どうしようか」
一度、咲ちゃんちから退散した俺たち。
ヘルプのみよちゃんに電話するも、どうやら不通のようだ。使えねぇな!
「コンビニの前でモンスターをさがすとしても、結構時間かかりますよね。あそこのモンスターは割とレベルが低いほうですし」
あかねんが昨日までのレベル上げの方法を提示するけど、それでは咲ちゃんちの母親が倒れてしまうほどの時間がかかるとのことで却下になった。
「ふ、ファントムですよファントム!」
タローが意味不明なことを言っている。
「タローさ、それって新しい呪文?」
「あ、いやいや、呪文じゃなくてですね、ゆ、幽霊とかそういうのならいるんじゃないかなと思うんですけど。い、異世界にはつきものですし。ついでに昨日のミカエルたんが戦闘したシーンも墓地でしたし」
わかったよ、もう異世界でいいよここは。
そして、ミカエルたんのアニメが少し気になったけど、タローが1日中ずっとミカエルたんについて語りだしそうなので、やめておいた。
でまあ、ほかに思いつくこともなかったので、俺たちは村立霊園へ向かうことになった。
ちなみに、ミカゲはまだ二日酔いである。タフマンをさっき墓地の入り口にある自販機で買って飲んでいた。
「ほ、ほら、ビンゴですよ!」
タローの言ったとおり、村立霊園にはうようよと半透明のものや、骸骨が闊歩していた。これがあれか、「ヒャアあああっ! そ、そこの角に青白い女の人があああっ!」とか見える人の世界なんだろうなぁ。
俺はたぶんホログラムとかプロジェクションマッピングなんだろうな、と思っていたから全然怖くなかったけど。
あかねんとタローは異世界ジャンキーたちなので、目がランランと輝き出す。俺とミカゲはそのあとをついていくことになった。あとをついていく2人は先を歩く2人と違い、かなりテンションが低かった。
「破邪の力よっ! ホーリーアセンションっ!」
「ぼ、ぼくのしもべたちよー、アリアリミエルアリノムレ!」
このモンスターたちはプロジェクションマッピングなので、お面を剥がす必要がない。なので俺とミカゲは墓地の入り口にあったベンチでのんびりしていた。
だってものすごくあかねんとタローが意気投合してるもん。ミカゲは暇そうに煙草をふかしていた。
「はい、これ、ミカゲさんへプレゼントです(ハート)」
そろそろお昼だなーーと思ったころ、あかねんがミカゲに剣をプレゼントしていた。ちなみに俺とミカゲは、他の2人にモンスター退治を任せて、墓地の入り口のベンチに座って休憩を継続していた。
ミカゲが装備して名称を確認すると、アイスソード、となっている。付与効果つきで、モンスターがさわるとそこが凍りついて剣に張り付くらしい。斬るときはその付与効果は発現しないとのこと。
便利なもんだなー。でも冷凍室に置いてあったアルミカップを濡れた手で触ったような効果だよね。
そのプレゼントをきっかけに、俺たちは昼の休憩をすることにした。
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