第13話 ステはやっぱり簡素

 俺とあかねんはスマホでステータスを確認できるが、タローについてはガラケーなのでアプリすらインストールされていない。


 コンビニを出たあと、3人でまじまじとステータス画面を確認してみた。



 すずくん(俺)

 ・レベル1

 ・HP:18/18

 ・MP:12/12

 ・職業:勇者

 ・装備品:リクルートスーツ、たけのヤリ

 ・特技:ツッコミ

 ・呪文:チョットイイデスカ、アノー

 ・所持金:0ゴールド

 ・ヘルプ:困った時は電話のマークを押してね!



 あかねん

 ・レベル1

 ・HP:10/10

 ・MP:18/18

 ・職業:僧侶

 ・装備品:リクルートスーツ、ひのきのたて

 ・特技:まだ覚えていない

 ・呪文:ヒール

 ・所持金:0ゴールド

 ・ヘルプ:困った時は電話のマークを押してね!



 タロー

 ・レベル1(たぶん)

 ・HP:?

 ・MP:?

 ・職業:?

 ・装備品(推測):リクルートスーツ、たけのヤリ

 ・特技:?

 ・呪文:?

 ・所持金(推測):0ゴールド

 ・ヘルプ:自分でなんとかしろ(アプリが入っていないためヘルプなし)



 ええと……

 「ちょっといいですか?」とか「あのー」って呪文じゃないんですけど! って通常の会話の取っ掛かりですよ!


 そして特技にツッコミとあったが、心の中で現状を突っ込んでいたのだが、どうやらバレていたらしい。そりゃあまりの異常事態にこころの中の叫びも出るわ。



「あれ、ヒールが使えます、わたし。試してみてもいいですか?」


 そういってあかねんは、先程スライムさんに殴られていたタローのたんこぶに手をかざし、ヒール! と唱える。


 とたんにあかねんの手がぱぁっと輝き、タローのたんこぶがちょっとだけ小さくなったような気がした。


 え? なに? 手品?


「わ、あかねんありがとー! 痛くなくなったよ!」

「うん、えへへ。ちゃんとヒール使えるね!」


 2人は異世界ってすごいねー! と盛り上がっている。


 なんだかもう、これは俺1人だけを騙すドッキリなんでしょ? そうなんでしょ!!? あかねんもタローも仕掛け人なんでしょおおおおお!!!?? だってどう見ても俺が育ってきた田舎だし、歩いてる人たちをどうみても普通だもん!



 ちょっと自分のアイデンティティが、ぶち壊れそうになってきた。


 ……もういいや、ドッキリでもなんでも、この際この冒険を楽しんでやる。決めた。




「し、しかし、僕だけステータス画面がないってのは、つ、辛いです」


 ガラケーを残念そうに見るタロー。

 たしかにこれから冒険を進めていくのなら、タローのステータスを確認できないと何かと不便である。


「あのさ、タロー。この際機種変したらどう?」

「うんうん、タロー君も一緒にアプリで確認しようよ!」


 俺とあかねんでタローに機種変をすすめる。幸いにもコンビニの隣に携帯ショップがあった。


「そ、そうですね、せっかく就職したんだし、スマホにしても大丈夫ですよね」

「うんうんっ、メッセのやり取りも出来るから、3人でグループ組もうよ!」


 え? 俺もグループに入るの? ええーーめんどくさいな。


 でも、ガラケーからスマホへの乗り換えを乗り気になっているノリノリなタローに水を差すのもアレかなーと思い、俺たちは携帯ショップへ向かうことにした。

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