第5話[姉として]


「はぁはぁ…」


やっと一息つけるや…


シーナの猛攻の中弾倉を打ち切らせ木の陰に隠れるナナ。

シーナの周囲に浮かぶ銃火器は減っているがまだ厄介な物が残っている


(…セミオートマチックショットガンかぁ…)


12ゲージ散弾を8発撃てる散弾銃がまだ10丁も残っている。

それ以外は大したことはない。


「…よしっ!」


ナナは木から飛び出す、それを見つけたシーナは的確な偏差射撃を数丁のライフルで行うがうまく弾道を逸らして躱す。

ショットガンは近づかれた時の切り札か?


しかしナナが持っているのは狙撃銃、ライフルの猛攻を回避しショットガンの弾倉を狙う、シーナもバカではない、動かすが魔弾と呼ばれたナナの力によって曲線を描く銃弾は次々に弾倉を打ち抜いていく


「むぅ…」


ショットガンを近づけ発砲しようとするがナナは狙撃銃を投げ捨てサブマシンガンで撃たれる前に左右から接近してくるショットガンを打ち落とす。


「…これで決着だね」


銃を構えシーナへ近づく、もう武器はない。

そう思い銃口を顔へ突きつける。


「乱暴な事はしないから、大人しく…」


「まだ終わりじゃないよ」


ガシャン


シーナの車椅子の後部が駆動し何かが伸びる。


手だ、機械の手は強靭なパワーでサブマシンガンを掴み撃つ前に機関部を握り潰した。


片側の手はナナの片手を掴み上げる。


「もう武器はないね、ナナ。」


もう手持ちの武器はない、片腕を捕まれいつ握り潰されるかわからない状況。

そんな中でもナナの顔は笑っていた。


「ふふふ・・・」


「…な、なんで笑ってるの・・・」


「武器がないですか、シーナさん、貴方意外とおバカさんなんですね。」


「な…何を…」


彼女はわからなかった、だが瞳の量子コンピューターはその答えを彼女へ与えていた。


「…!?」


シーナは後ろを振り向く。


「弾倉だけ打ち抜いてもチャンバー内の一発は撃てますよ…!」


弾倉を撃ち抜かれたショットガンが2丁すぐ後ろに待ち構えていた。


「…そ、そんな訳…」


「試してみる、命と引き換えに?」



数分間の沈黙





「ちょっと待ったー!」


声のした方向に目をやるとそこにはサーナとニーナ達が歩いて来ていた。


「あっ、サーナ」


「お姉ちゃん!」


「取り敢えず、二人共銃を下ろして。」


シーナは掴んだ手を放しナナはショットガンを遠方へ飛ばして捨てる。

皆が集まってるのを見て物陰からヒナも出てくる。


「…で、どういう事なの?」


「それをこれから話すのよ」


そう言い一向はニーナ宅へ歩く。




………



「そうそう、お姉ちゃんちょっとおバカで…」


「ほーらやっぱり、研究所にいた頃も積み木とかばっかりやってたじゃない。」


「ぬぬぬ…」


サーナがふとニーナが馬鹿という話題を出したらそれにまさかのナナが乗っかりディスり始めた。


「べ、別に本読まなくても生きていけますしー」


「依頼が紙で来たら?」


「うぐっ…」


「もしも暗号で来たら?読んでくれるナナは居ない前提よ?」


ニーナは言い返せないので距離を離す。

ハイドフェイスの隣に立ち歩きながら話しかける


「…おい仮面、なんか褒めなさい。」


「…は?」


「はじゃなくて、ほら何かあるでしょ、私のすごいとこ。」


「あー、なるほど、慰めて欲しいんですっ!?」


脇腹に殴りを入れられる。


「いいから何か言え。」


「ふむ、そうですねぇ…」


ハイドフェイスはしばらくニーナの体をまじまじと見つめる。


「無駄な抵抗がありませんね」


ジャキッ!


「人が気にしてる事を…」


「ちょ、ま、まあ落ち着いて…」


二人の話を嗅ぎ付けたサーナは後ろを振り向く。


「姉さん私と同じ型なのに私より無いよね」




「揉んでみないとわからないでしょ!」


「試す?」


「もちろん」


「じゃあ…」


サーナはハイドフェイスへ目をやる。

すると彼の手を握り自身の胸へ当てる。


「…どうよ。」


「ど、どうって言われても…」


「比べないとわからないわよね、姉さん。」


ニヤリと笑いながらニーナへ顔を向ける。


「いや…まあ胸なら別に触り慣れてるけど…こんな奴に触られるのは…」


「3人とも早く行くよー!」


ナナが立ち止まっていたニーナ達に呼びかける、俺も!?と言いたそうな顔をしながらハイドフェイスはサーナの手を振りほどきスタスタ歩いていく。


「…怒られたじゃない。」


「ごめんて姉さん。」


その顔はどうみても謝る気が感じられないにやけ顔をしている。


「ねぇ、私の事どう思ってるの。」


「ん、私は姉さんが嫌いだよ。」


「…はっきり言うのね、傷つくわ…」


「わからないよ、これから好きになるかも。」


「だといいけど…」



「私全然会話に入れてないんですけど・・・」


ヒナが2人の後ろから言う。


「知らないわよ」「知らないね」


「えぇ…」


_____________________________



家に付きニーナは床にゴロゴロしナナは適当に飲み物等々用意し、サーナとシーナ、ハイドフェイスはテーブルについていた、ヒナはその辺に座っている。



「…で、何聞くんだっけ。」


「もう忘れたの…」


サーナはため息をつく、ナナがテーブルに置いたペットボトルの少しばかり飲むと話始めた。


「じゃあ、私達を作った研究所、組織について話すけど…」


サーナはハイドフェイスとヒナを交互に見ながら。


「部外者もいるけどいいの?」


「私はいいと思うけど」


「いやシーナには聞いてないけど…」


ニーナは適当だがナナは肯定の意を示しているので話を続ける。


「はっきり言うけど良く分からない」


「えー…」


「でもわかる範囲は話すわよ、まず私たちが姉さんへ向けて送られた理由」


「ハイドフェイスだっけ、貴方と同じで姉さんを殺す命令を受けて来たの」



組織の現在の最高責任者レイナはある日突然ハイブリッドの殲滅作戦を始めたの。

最初は殺し屋と少数の組織の構成員で始めたけど戦果はまったく上がらず、配下のハイブリッド、ケルベロスチームヴェロとか…いや動けるのは彼女しか居ないから一人だけね。

それでも失敗したから同型の私達が送られて来たってわけ




「後、ナナだけは生け捕りにしろって言われてる。」


「私とナナはよくわからないけど待遇いいんだよね。」


シーナがナナを見ながら言う。


「なるほど、奴らの目的はナナなのね。」


「私が知ってるのはこれだけ、シーナも同じ。」


シーナも同じくと言うように頷く。


「…で2人はどうするの?」


「…どうしよう、本気で姉さんを殺してナナだけ連れていくつもりだったから…」


「…妹じゃなかったら殺してるわよ。」


「ここにいればいいんじゃないですかね?」


「私は姉さんが嫌いよ。」


しばしの沈黙、皆が考え込んでいる。


「…そういえば匿ってくれそうな奴が一人居たわ」


「姉さんにそんな知り合いがいたなんてね。」


「…どうする?」


「う~んシーナはどうしたい?」


シーナは暫く考え込む。


「どういう人かわからないとちょっと心配かな。」


「ただの猫好きよ、私と一緒に暮らしたがってたし、悪い奴じゃなかったけどナナがいるし…」


「まあ…ほかにアテも無いし…行きましょ。」


「決まりね!じゃあ寝てから行こうか、私は今日はもう疲れたー」


そういうとニーナはその場で寝ようとするがナナに叩かれる。


「痛いよナナ!」


「ちゃんと寝てって何時も言ってるでしょ!」


「どっちが姉なんだか…」



____________________________


とあるアパート、その一室の前にニーナとサーナとシーナが立つ


「ここがその男の家?」


「そうそう」


そう言いながらニーナはドアを叩く


「はいはいー今出ますよ。」


向こうから男の声が聞こえる。

こんな姉の知り合いだ、大したことのない男なのだろう。


ガチャ


ドアが開くとそこには黒髪の短髪の見た感じ30代の中年の男性だった。


「…お、ニーナか、久し振りだな。」


「久し振り、澪、今日は頼みがあって来たの。」


澪と呼ばれた男はどこか疲れた表情だが久し振りににニーナと出会えたからなのか知らないが顔に合わない明るい振る舞いをしている。


「妹のサーナとシーナ、2人を匿って欲しいの。」


「なんだそんな事か、任せてくれ。」


「ありがと、それじゃ私は帰るから。」


「あぁ…またな。」


ニーナは適当に手を振りながら去っていく。

それを手を振りながら澪は見送る。


「えっと、初めまして私がサーナでこっちがシーナ」


「あぁ初めまして、さあ中にどうぞ。」


中は意外と綺麗だったがあちこちに処方箋のような物が落ちている。


「自己紹介がまだだったね、鳴守 澪だ、元軍人の情けない男さ。」


「は、はぁ…」


「そうだお腹が空いてるだろう、丁度何か買いに行くところだったんだ、何か欲しい物はあるか?」


よく見ると彼はジャケットを羽織っていた。

どうやら本当のようだ。


「シーナは何か食べたい物ある?」


「なんでもいいよ、研究所の外の物なんて始めてだもん。」


「研究所…なるほど、ニーナの妹って事は君らも…」


「え?」


この男、何やらある程度ハイブリッド等々の知識がある、気になって聞こうと思ったがすぐに立ち上がり玄関へ向かっていた。


「それじゃここで待っていてくれ、すぐ戻るよ」


「…い、いってらっしゃい」


(変な男だな…)


「そういえばあの人」


「どうしたのシーナ」


「あの人、左手が冷たかったよ。」


「ん…?」




____________________________


いざ店に着いたが白衣の少女を男数名がナンパしている。

あぁ言うのは嫌いだな。

さてサーナとシーナは何を食べるんだろうか…


「へい彼女ー可愛いじゃん」


「うるさい」


「そう言わないでさー、俺らと一緒に一杯?どう?


「お、名札ついてんじゃん。」


「勝手に見るな」


「ヴェロちゃんかー変わった名前だねー」


「そろそろいい加減に…」


はぁ…仕方ない


「おい君達、ここは買い物をする場だ、そういうのは素直に道端でやりたまえ¥


俺とて元軍人だ流石にチンピラどもは体格差に慌てて逃げた

何より俺の左手を見てビビったようだ。


「大丈夫か?」


「…こんな世界にあなたみたいな男がいるとは思わなかった」


「…見返りに何か要求するの?」


「そんな事はしない、ただの親切だ」


「どうだか…」


彼女はそう言いながら商品を手に取る。


「ん?君も義手か?」


「え?あぁあなたも義手?」


俺は左手の古びた義手を見せながら言う。


「まあな、お互い大変だな」


「そうだね、厄介なのもいなくなったし私は買うもの買って帰るわ」


「ここはそういう場所なんでしょ?」


彼女は立ち去るように歩いて行く。


「まあ…そうだな…」


右手が義手か…あまり思い返したくない事を思い出したな…


実の妹じゃないが、兄的な存在としてあの2人と接してみるか…


____________________________



<用語解説>


組織

・ニーナ達を作った謎の集団、詳しい実態はわからず。


研究所

・ニーナ達が住んでいた場所、基本的にここから出ることはないはずだった。



<登場人物紹介>


鳴守 澪 33歳

・元地球軍パイロット、いまは退役しておりひっそりと暮らしている、生まれつき右手の無かった妹を今でも探している。



_____________________________


あとがき



取り敢えず、終わったー


同時連載中の虚構のファフニールの主人公が登場しました、まあこれで向こうの本編内で主人公は死なない事が確定しましたね。


サーナ達はまた別で書こうとおもってますが今はまだ予定。


ぐらいですね、うん。


途中で胸の話出ましたが一番小さいのはニーナと決めてあるので。

サイズ的にはニーナはAAAでサーナがAAです、対空兵器ですかね(違う)


まあ何時もの次回予告して終わりましょう



ニーナの元へ一つの依頼が来る、それは大規模なマフィア集団の集会を襲撃する依頼だった!

そこで風香と居合わせさらにマフィア集団の秘密が明らかになる!?


次回! 第六話「断罪の舞踏会」


お楽しみに!

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