第4話[貴女達と私達は似ている]
どうも皆さんナナ・ハイアシンスです、今日はお姉ちゃんの注文していた武器を受け取りにおやっさんのガンショップに向かってます。
店名?…クッソダサい店名だったのは覚えているんですが忘れました。
おやっさんはいい人です、今お姉ちゃんが殺し屋をやっているのも私が傭兵をやっているのもおやっさんの勧めのおかげです。
「姐さ~ん、一体何をしに行くんですか。」
「いやなんであんたがいるのよ、付いてくんなって言ったでしょう。」
お姉ちゃんはお怒りのようで、実は私が連れてきたのは秘密です。
「後…ヒナも。」
「そうだ!ヒナ何で来たんだ!」
「ししょーの居るところに私あり、ですよ。」
「そ、そうか…」
どうだ!…という顔で言ってますけど。
お姉ちゃんは無視してスタスタ歩いていってますよ。
しばらく歩くと汚い町並みに一つに小綺麗な物騒なお店があります。
傾いた看板とガムテープで治したガラス窓が目立ちます。
ガチャ
チリーンチリーン
「おやっさーん!来たわよ!」
「おうニーナか、良く来たな。」
沢山の重火器や銃器、弾薬がテーブルや壁に並ぶ中でTシャツに防弾チョッキを纏った小太りした頭に実りのないオッサンがおやっさんです。
「お久しぶりです、おやっさん。」
「ナナも居たか、そこの仮面はハイドフェイスと…妹さんだったか?」
「いや違います」
「私はししょーの弟子です!」
「なんだただの噂だったか、すまんな。」
「何故俺の名前を…?」
「殺し屋の間じゃ、ニーナに殺されたって噂で有名だぞ。」
「そんな事よりおやっさん、出来たんだって?」
お姉ちゃんは子供のようにはしゃいでおやっさんに詰め寄ってます…
まるでお姉ちゃんを猫をあやすように扱ってます。
…ちょっと羨ましい。
「まあ落ち着けよ、獲物は逃げないぜ、待ってろ。」
奥の部屋に行くと数分程待っていたらおやっさんが帰って来ました。
おやっさんと呼ばれる人物は持って来たアタッシュケースをテーブルの上へ置く
ニーナは待ちきれんばかりにそのケースを開ける。
ガチャ…
「ふふふ…」
ニーナは笑顔を浮かべながら中にあったその漆黒の拳銃を取り出した。
「13mm大型拳銃、シュラークパンター。」
「専用の弾薬を使用する、装弾数5発、通常弾と炸薬弾がある。」
「口径13mmこれで仕留められない相手は居ないだろうな。」
「要望通り黒く塗ったから名前と合わせりゃ黒豹って感じだな。」
「………黒豹って何?」
…お姉ちゃんは無知な事が多すぎると思います。
________________________
「それで一体どれ程の威力なんです?」
「そうだな…よし射撃場へ行こう」
そして射撃場へ向かう一行
しかしそこは射撃場とは言ったもののただの広い庭。
「おやっさん、的は?」
「すまんニーナ、切らしてるんだ。」
「いや、丁度ここに居るわ」
…
庭の真ん中にハイドフェイスが立ちそこから数十メートルの所にテーブルを用意して各種弾薬を置きハイドフェイスに銃を向けるニーナ。
「行くわよー」
「いやいや!待ってよ!」
「なんでししょーが的なの!」
思わずヒナは止めようとするがニーナはチラとハイドフェイスを見ながら言う。
「…いや的っぽい見ためしてるじゃん、仮面丸いし白いし」
「いや良くないでしょ!ししょーもほら!何か言って下さい!」
「避ける」
「いや避けるじゃなくて…」
ドガッ!!
キィン
弾丸は仮面に当たったが大きな抉り後を残して弾かれた。
「…チッ」
「まさか貫通しないとはな…」
「やっぱり貫通させるならライフルだよお姉ちゃん。」
「もういいです…好きに撃ってて下さい…」
「避けるって言ってなかったか?アイツ。」
そうして暫くハイドフェイスへ銃弾を撃つニーナだが仮面以外の部位へ撃った弾は避けられてある程度撃ち終えるとおやっさんに感謝を述べ帰宅していた。
帰宅中…
「…あ、そうだ。」
ニーナは立ち止まりパーカーの裏側から何かを取り出す。
「どうしたのお姉ちゃん?」
「これ、もう要らないから。」
9mm
「え?」
「どうせろくな武器持ってないんでしょ、要らないしあげる。」
渋々受け取る、意外な重さに多少バランスを崩したが二丁目とマガジンも受け取る。
「…いいんですか?こんな物渡して。」
「どうせ使いこなせないでしょうし、最近それ使わなくても音抑えて殺せるから。」
ヒナに対しどこか小馬鹿にした笑みを返しニーナは足を家へ向ける。
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夕日が沈み始め辺りの空は琥珀色に染まった頃
木々が並ぶ坂道を歩く兵士のような服装の男達。
黒く塗られた衣服と白いどこかSFチックなブルバップ式の小銃を持っている。
「こちらテング1、未だ発見出来ず、どうぞ。」
「テング1了解した、ヴェロの鼻は優秀だその山のどこかに潜んでいるに違いない。」
「…わかった、探索を続ける。」
ハァと溜息をつきながら足を進める兵士達、その後ろに大きなケースを背負った眼帯で帽子とブラウスに身を包んだ黒髪の少女が続いていた。
「探しても無題よ」
「何?」
後ろを振り返りながら少女は語る。
「私にはわかる、姉さんはまだここへ帰ってきていない。」
「何故わかる?」
「私と似た匂いがする、後ろから。」
「だがな3番…」
瞬間兵士の真横をナイフが通り過ぎる。
投げたのは紛れもなく目の前の3番と呼ばれる少女だった。
彼女の顔には明確な怒りが見える。
「その呼び方嫌い」
「私にはちゃんと名前があるんだから、あの子にも。」
数字呼びが気に入らなかったらしく見るからに機嫌悪く言っている。
「…わかったよサーナ、シーナ含めちゃんと呼ばせる。」
「テング1から全部隊へ、目標は後方から来る、ハイブリッドを前に包囲しながら進め。」
「クークラの命令も更新しておけ。」
…
「という事らしい、シーナ、君を先頭に来た道を戻る。」
車椅子に座ったシーナと呼ばれた少女は包帯で目を隠しているが手際よく後ろへ方向転換していく。
「ここまで頑張って登ったのにー」
「下りは楽だぞ。」
「帰りの下りが良かったー!」
頬を膨らませ不機嫌そうにしながらも傾斜を駆け下りていく。
「ハァ…どうしてあんな子供にしたんだか…しかも少女で…」
「そりゃ孤児施設として偽装するのと、後は…」
しばしの間の後年配の兵士が言葉を続けた。
「こう言いたくないが、派生を作りやすくする為、か。」
「優秀な兵士とやらせれば強い子が出来そうですね。」
「言うな言うな、あんまりそういうのは聞きたくない。」
「にしても、こいつら、使えるんですかね」
強化外骨格がそのまま武装して歩いているようなロボット数十体へ向けて言う。
機械で出来た人間の骨に皮膚のように板を付けたような外見に四角い無機質な顔、僅かに表情の見える発光するカメラアイ、古いステルス戦闘機のように角ばったフォルムに先進的な綺麗な正方形のライフルが目立つ。
「ロボット兵士クークラか、まあ使えるんじゃないか?」
「最悪こいつら盾に逃げれるしな。」
それを聞いた少女は振り返る。
何か楽しい事が思い付いたかのように笑みを浮かべる。
「ねぇねぇ兵隊さん」
「なんだ?」
「考えがあるんだけど…」
…
______________________
「…もうすっかり暗いわね。」
「そうだね~」
「…あれ?」
歩く一行の中で突然ナナが立ち止まる。
「どうしたのナナ?」
「山の中に気配がある。」
「へぇ…よしっ!」
ニーナは喜々として漆黒の銃を取り出す。
「どの辺にいるの?」
「…えっと…あっちとそっち」
少々嫌そうながらもナナはだいたいの方角へ指を刺す、それを見るや否やニーナはその場で悩んだ末最初に指の刺された方角へ走り出す。
「あっお姉ちゃん!一人じゃ危ないよ!」
「大丈夫だって!すぐ戻るから!」
ニーナは森の中へ消えていった。
「…もう、ハイドフェイスさん、ついて行って上げて下さい。」
「えっ?なんで俺が」
「知りたいんですよね、お姉ちゃんの事、だったらどうにかして距離を縮めないとダメですよ。」
そう言うとナナはもう一方の方角へ足を運ぶ。
ヒナの手を握り走って行く。
「へ?」
「ヒナちゃんは責任を持って守りますから、お好きにどうぞ。」
「ちょっと!わたしは…」
「さ、行こうヒナちゃん!」
二人は夜の闇に消えていく、ヒナの大声が遠くから聞こえるだけだった。
「はぁ…まあ、行くか。」
______________________
暗いわね…
あんまり目の前は見えないけれど、気になる匂いでもたどれば…
バババババ‼‼
小さい発砲音と共に銃弾が飛んでくる。
逸らして避ければ…!
ニーナは瞬発力を生かしてその全てを避ける。
「…ふぅ…撃ってきたのは誰?」
暗闇から現れたのは眼帯を付けたニーナと瓜二つだが肩ほどの長さの黒髪の少女だった。
「ようやく会えたわね、ニーナ姉さん。」
「…は?」
意味がわからない、ナナ以外に姉と呼ばれるような記憶はないわ…
「私はサーナ、姉さんを殺しに来た。」
ふっと意識が飛んだがそんなことはどうでもいい、目の前にいるのは敵、それだけだ。
「殺せる?この私を」
ニーナの瞳は赤くなり暗闇の中で鈍く輝く。
「ぶっ倒す…!」
その言葉と共に周辺に黒ずくめの兵士が現れ、サーナは眼帯を取りその右目を表にした。
金色の美しい右目を見た瞬間視界が妙に歪んだ。
仕方ない…
ヴヴヴヴヴ
ニーナの背後から黒い何かが蠢き周囲の兵士を切り裂きそのまま周辺の木々の表面すらも切り刻んだ。
サーナは飛び上がり距離を取ろうとする。
「さて…後は貴女ね。」
ドガッ!!
ニーナは空中で身動きの取れないサーナの落下先を読み的確に射撃した、ハズだった。
あれ?
サーナの真横を銃弾は通り過ぎていた。
「どこを、狙っている!」
サーナの腰からワイヤー状の物が4つ放たれる先端には刃がある、壁を蹴り木々を盾に避けるがそれらは追尾をしてくる、銃弾を撃ち軌道を逸らしながらどうにか処理する。
13㎜は勿体無いので45口径拳銃に持ち替えどうにか凌ぐ。
「単分子ワイヤー、そんな銃弾では効かないわ、もっともこの言葉の意味すらわからないんでしょうね、姉さん。」
サーナは背負っていたケースから
不味い…これじゃ受けられない…
黒い物体で鎌を弾き回し蹴りを入れサーナを吹き飛ばす。
吹き飛ばしたサーナへと視線を向ける。
…?
13mm拳銃へ持ち替え放つ、しかし奇妙な出来事が起きた、視界が左へズレたのだ、銃弾は明後日の方向へと飛んでいく。
「…フッ…」
キュイィィィィ
ワイヤーが再び飛んでくる、マガジンを炸薬弾に切り替えながら左手の45口径拳銃でワイヤーの軌道を逸らすが、注意がワイヤーに向いてる隙にサーナが詰め寄る。
この距離なら…!
13mmを至近距離で打ち込む、がしかし。
「残念ね姉さん、私には勝てない。」
銃弾は止められワイヤー先端の刃は銃を弾き飛ばし首元へと到達していた。
「ここまで追い詰められるとは…これじゃ相打ちが狙えるかどうかね…」
サーナの姿は蹴られた時に帽子は取れアホ毛が目立つ、ニーナと同じ猫耳があり動いているのが見てわかる。
「折角だから教えて上げる」
止めた銃弾をニーナへと向けるとサーナは鎌を地面に刺しその柄に腰掛けて話始める。
すると上着を半脱ぎにし始め露出した左腕を見せつけてきた、その腕には03という数字と僅かなアルファベットが記されている。
「姉さんの右腕にもあるでしょう、02と書かれたこんなものが。」
「…」
「私は姉さんをベースに作られた3番目のハイブリッド、通称サーナ、姉さんの妹の一人よ。」
「…ね、ねぇ、こんな事聞くのもなんだけど…」
申し訳なさそうに青い瞳で訴えかけるようにニーナは質問する。
「…何よ。」
「ハイブリッドって…何」
「…ハァ」
溜息をつき頭を抱える。
「こんなの相手にあんなに怒ってたのか私…」
「…ごめん、実は自分の事もあんまり詳しくなくて…」
サーナは眼帯を付け直し、改めてニーナと向き合う。
「取り敢えずハイブリッドについて教えましょう。」
「…ねぇ、この体制辛いんだけど。」
サーナは怒りをどうにか抑え込む
「姉さん。」
「何」
「…場の雰囲気を少しは考えて」
「ふいんき?」
「 ふ ん い き 」
ゴホン
咳払いをしどうにか振り出しに戻す。
「ハイブリッドっていうのは私や姉さんみたいな、動物と人間を混ぜて作り出された人間もどきの事よ。」
「人間もどき…?」
サーナは悲しげな顔でニーナを睨む。
「私と姉さんはそのハイブリッドの中でも失敗作と呼ばれる初期型。」
サーナは片側のくせっ毛だけ猫耳にしながら尻尾を振り回す。
「猫耳はくせっ毛に見せなきゃいけないし尻尾は他人から見たら変態か化け物にしか見えない、それが私達ハイブリッドよ。」
「私”達”…?」
「そうよ」
「姉さんはナナだけが妹だと思ってるだろうけど違う、姉さんは12人姉妹の一人に過ぎないのよ。」
ニーナに衝撃が走る、妹を大事にしてきた彼女にとって自身の知らない妹、家族がいたことを知らなかった、それは彼女の心に突き刺さった。
「自分の家族もろくに知らない貴女は姉に相応しくない。」
サーナは鎌を取り大きく構える。
「皆の姉さんは…私よ!」
くっ…!
ニーナは死を覚悟した、が。
「…っ!?なんだ?」
バババババ‼‼
サーナの背後に現れたその巨体はサーナの拳銃を受けても何ともなかった。
「何ぃ!?」
電撃を帯びたチェーンソーがサーナの鎌とぶつかり合う。
現れたのはハイドフェイスだった。
「姉さんに圧倒された男が、私に勝てるわけがっ!」
ニーナへ向けていたワイヤーを含め全てを放つ、それらをチェーンソー、もしくは拳で弾く。
その隙にニーナは銃を回収し距離を離すとそこへハイドフェイスも跳躍し着地する。
「…お前は邪魔」
サーナの鎌から電撃が走ると見えない程の速度で飛翔体が放たれる、電磁投射砲の原理だろう。
しかしその弾はニーナの力で逸らされる。
サーナの鎌からはバッテリー切れの赤いランプが点灯している。
「…っ!」
ニーナは問いかける。
「なんで助けたのよ」
「俺は…まだ知らない。」
「俺はまだ姐さんの事を知れてないからな!」
「…は?」
彼はまだニーナの力の秘密を知りえていない、だから助けたのだ、いやそれだけではない、彼の中では少女が戦う事はどうしても良くないという考えがあったのもあった。
「…なにいってんのよ。」
「…まったく」
言われ慣れない事に少々恥ずかしくなったがニーナはマガジンを込め直した銃をサーナへと向ける。
「手を貸すんならとっとと前出なさい、援護するから。」
「…任せろ!」
サーナは鎌のバッテリーを交換する
「…面倒だな…っ!」
_________________
~一方その頃~
ナナとヒナは森を歩いていた。
「…あれおかしいな、確かこの辺から気配が…」
ナナは歩き疲れて声も出ないヒナを尻目に草木を掻き分けて進む。
あまり草の生えてない木々で囲まれた場所に出る。
バババババ‼‼
銃撃音が聞こえると複数のマズルフラッシュと青く光る飛翔体が飛んでくる。
ナナはいつものようにそれらを力で止めようとする、が上手く行かず勢いこそ衰えるが飛翔体は飛んでくる。
すぐさましゃがみ込みどうにか命中は避けた。
「流石だね。」
「…誰ですか。」
6体程の武装したロボットが現れると車椅子に座った少女が暗闇から現れる、目を包帯で隠しまだ何も言ってないが見れば解る、自身や姉と似通った、同じようなモノという事が。
「あっそっか、自己紹介。」
「わたしはシーナ、わかってると思うけどおねえちゃんだよ。」
「研究所の差し金ですね。」
「そうだね、気は乗らないけど。」
そう言うと周囲のロボット兵が銃を構える、しかしそれよりも速く猫特有の瞬発力を生かし左側のロボット兵へ取り付く、ライフルを相手の首へ突き立てそのまま放つ、そのガラクタを蹴り近くの2体を怯ませる。
残り3体が銃撃をするがギリギリ交わしながらライフルを投げつけ倒した2体へ手持ちの小口径拳銃を撃ち切るまで浴びせながら落ちていた銃器を力で左手に持って行く。
拳銃を投げ捨てると拾った銃器で残り3体へ発砲する、青い銃弾はロボットの装甲を削りその内部構造をあらわにしていきながら倒れる。
「…これでおしまいなの?」
銃器を投げ捨て力を使いライフルを回収しボルトを回してコッキングする、最初に撃ったロボットが頭の無い状態で這いずって来たがその背中にライフルを突き刺し、撃つ。
ボルトアクションライフル特有のコッキング音を夜の森に響かせながらナナはシーナへ詰め寄る。
シーナはゆっくりと包帯を取る。
包帯に隠れた金色の瞳はナナの瞳を見つめる、人工物のような綺麗な眼、よく見ると片側の目にはIVと表示されているように見える。
只の義眼ではない、そう思った時には遅かった。
幾つものケースが飛び出し開放されていく、中からは突撃銃、狙撃銃散弾銃と多種多様な銃火器が出てくる。
それらはナナの方へと発砲しながら飛んでくる。
ナナはシーナへ銃口を向け撃つ、がそれは銃火器の入っていたケースに防がれる。
「…こんな事なら何時ものライフル持ってくるんだった!」
周囲を飛びまわりながら散弾銃や突撃銃はせわしなく発砲してくる、短機関銃で壊そうと撃ちまくるが利き手の左手にはライフルの状態、まったく当たらない。
「ナナの力はほぼ無限に近いほぼ物を操れる、でも数が多ければ多いほど頭を使う、頭が追い付かないほど力を使わせればハイブリッド最強と呼ばれたナナでも追い詰められる、すごいなサーナは、言ってた通りだ。」
ナナは回避するのだけで手一杯だった、それだけじゃない銃火器がナナの狙い辛い位置を取るようになり始めた。
やっと追いついたヒナは草むらからその光景を見つめる事しか出来なかった。
____________________________
ドゴォン!!
銃声と弾頭の炸裂音が響く、赤い爆炎が幾つか見えると鎌が吹き飛び木に突き刺さった。
キュイィィィィ
ガキィン!!
ワイヤーはチェーンソーにはじかれそれでも勢いを落とさず軌道を変え再突撃していく。
サーナはワイヤーの攻撃に集中させ距離を詰めるとワイヤーは突然脱力し巻き取られる。
サーナは両手にナイフ、そして力を使い4本のナイフでハイドフェイスへ切りかかろうとするがニーナの射撃がそれを邪魔する。
「…チッ!」
「助かったニーナ!」
「…勝手に呼ぶな!」
ドン! ドン!
追撃の銃弾を避けナイフを飛びながら投げつけ、ワイヤーで木々を飛び移る。
「逃げたか…」
ニーナは殺した兵士のアサルトライフルを手に取り、飛んで行った方向へ弾幕を浴びせる。
そうすると拳銃を片手にサーナが飛び出す。
付け直していた眼帯は外していた。
バババババ‼‼
フルオートでハイドフェイスへ撃つが小口径弾は全く効かず怯みもしていない。
ワイヤーで武器のチェーンソーを絡めとりながら落下の勢いに任せて蹴りを入れる。
蹴りは肩に直撃するも痛みが強く残るのはサーナの方であった。
「なんで姉さんの味方をするのよ!」
「何!?」
「姉さんは、私達を見捨ててのうのうと逃げ遂せたバカ姉貴よ!」
ニーナの援護射撃は明後日の方向へと飛んでいく、ワイヤーはニーナへと刃を向け武器の拘束は解かれたがハイドフェイスのチェーンソーも空振っていく。
「まとめてぶん殴って…」
「誰を殴るって?」
サーナの顔に銃口が向けられる、ニーナはワイヤーを無理矢理銃に巻き付けさせ距離を一気に詰めていた。
ドン!
「…ここまで馬鹿とはね」
サーナに向いていたハズの銃口はサーナの目の前の何もない空間へ向いていた。
二人の攻撃を軽々と避けながらサーナは言葉を繋げていく。
「私の右目は周囲の光を曲げる、つまり、視界を歪ませる。」
ニーナを回し蹴りで吹き飛ばし、ハイドフェイスのチェーンソーをワイヤーで吹き飛ばす。
「あなた達2人じゃ私には勝てない。」
「何を…」
「安心して負けるといいわ、一応土には埋めてあげる。」
そう言うとサーナはワイヤーでニーナの新品銃を弾き手に取る。
ニーナが銃を取り出し撃とうとするが既にその銃口はサーナへ向いては居なかった。
「これでゲームオーバーよ」
カチ
……
カチ……カチ……カチカチ…
「…あれ?」
「…こ、壊れた…のか?」
「なによ!この!重いだけのポンコツ!ガラクタ!鉄の塊が!」
ボン!
何度もトリガーを引いていると突然小さな爆発を起こしスライド部が軽く飛び上がり煙を出しながらサーナの手から落ちる。
「い、いたい…」
煙で目を閉じている、これを好機と見たハイドフェイスはサーナの両手を掴みその場へねじ伏せる。
「ふぇ…あっ!?」
バタン!
「捕まえたぞ!」
「…く、くそ…」
視界を歪めていようと触れてしまっていればもはや意味はない。
「…取り敢えず…色々教えて欲しいんだけど。」
伏せられているサーナの目の前にしゃがみ込む、サーナは不服そうな顔をしながら言う。
「何が聞きたいの?」
「私達を作ったって言う連中の事」
「名前は知らないけど、組織って科学者は皆言ってた。」
「それより、この仮面野郎重いんだけど…」
サーナはどうにか抜け出そうと身を捩るが抵抗むなしく微動だにしない。
「抵抗されても困るし…」
「しないから、もうスッキリしたわ、悔しいけど。」
「スッキリしたって?」
サーナを立たせながら問う。
するとサーナはニーナを指差しデコピンを食らわせる。
「他の妹ほったらかして逃げた姉さんを一発ぶん殴りたかったの。」
「ご、ごめんって」
「取り敢えず、私の妹が向こうにいるはずだから歩きながら質問があるなら歩きながらね。」
サーナはスタスタと歩いて行く、その後をハイドフェイスとニーナは追う。
「ね、ねぇ!私達作られたって言ってたけど…親とかって居るの?」
「…私達ハイブリッドはとある人のDNAから作ったクローンらしいけど、それ以上は知らない」
「そうなんだ…」
「俺途中から乱入したんで一から話してもらって良いですかね…」
「いいわよ、えーっと姉さんフルボッコにして…」
……
…
____________________
<登場兵器解説>
13mm大型拳銃[シュラークパンター]
・ニーナがおやっさんに頼んで作って貰った大口径拳銃 装弾数は5でニーナが握れる用にグリップ含め出来るだけ薄くされてる、専用の弾薬が使える。
QEXOM-A31 クークラ
・強化外骨格を無人化したもの、いわばロボット兵士である、組織が多数購入しオーガニクスライフル等々を持たせ運用している、警察なども使用しており町の至るところに武装して立っている。
OCAR-02 オーガニクスライフル
・白いライフル、半粒子弾を打ち出すライフル、青い弾丸は高速で飛び半分粒子化しており念動力に対する耐性を持つ。
<登場人物紹介>
おやっさん
・本名不明の男性、何時からか知らないがガンショップを経営している。
サーナ
・ニーナそっくりの少女、ニーナが居たという研究所から来たらしい。
シーナ
・サーナ共々送られて来たハイブリッド、車椅子に座っているがその力はナナ程ではないが強い。
___________________________________
あとがき
皆さん久し振りですね。
遅いじゃないかって?はい、本当に申し訳ない。
まあ色々とリアルでもあって、見返して進展ねぇな!ってなって色々と変えたり気になる部分いじったり。
後は深夜テンションでサーナの設定増えてしまったりとかね。
ちょっと最初の方だけナナ視点で書いてみたりしたり色々と試してみた。
本当は今回でサーナとシーナ戦終わらせようと思ったんですがさすがに長いなと思ったので割愛。
サーナちゃんニーナの色違いもどきなんですが劇中の通りニーナの後期型に当たるのでスペックは上です、胸も姉以上(殴。
…もう書くことが無い。
じゃあいつもの次回予告
サーナ相手にハイドフェイスとの協力でどうにか勝利したニーナ、しかしナナとシーナは激闘を繰り広げている、忘れ気味なヒナは何も出来ずどうする!?
そして二人の口から明かされる研究所での過去とは!?
次回[姉として]
気長にお待ちを!
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