Gカップ勇者とツンツン少女・後編
俺は高校二年の一般男子・
魔王討伐の為に召喚され、
「ひゃう!?」
「わ、わわわわわ!?
ハ、ハルヒトさんなに、なになにななにななな!?」
エリスにおっぱい揉ませてます。
「ゆ、勇者様、何をしてるのかしら……」
突然の事に、脇で眺めていたエリエットが赤らみながら苦笑する。
エリスは突然の事にオーバーヒートを起こし、口から煙を吐いてはぐるぐる目を回してへたり込んだ。
今の俺はまともに魔法が扱えない。
そして魔法を展開するには、強い『衝動と欲求』が必要になる。
なのでイメージ通りに発動するには、『エリスとエッチな事をしたい』ってのを、キーにしなきゃいけない。
んで俺が最近エリスへ対し、そう言った強い欲求を覚えたのは―――下着選びの時だった。
「……ふっ、ふぅ……はぁ、はぁ。
よ、よし、スイッチ……入ったぁ……!?」
なので俺はその欲求に従い、店員さんにされた事をエリスにされる事で、無理矢理魔法を展開する。
一度発動してしまえば簡単。
魔力と一緒に、強く強くイメージを送り込むだけだ。
何を言っているのかわからないケド、とりあえずエロは魔法って事で。
「こ、これぇで、風まほーが……イケる、はズ!」
やべーよ……刺激が未だ凄くて呂律が回らない。
ってか女の人の身体ヤバいって。
エリスはもう触ってないのに、身体の内側からスゲーゾワゾワするし。
何か頭フワフワするし。
ナニコレ想像以上に凄いんだが。
俺は全身に残る痺れに震えながら手を構える。
右手の中にあるゲルメンを中心に風が吹き、魔力を注ぐと勢いを増す。
そして俺の身体に残る快感を帯びた風は、イメージのまま吹き乱れる。
「スペルも何も無しに、魔法……!?」
「まだ不完全だから、極端な欲求をキーにしないと……魔法が出ないんだ、よ」
「そう言う事……確かに制御がバラバラだわ。
でも流れからして、火力は申し分ない魔法が放てそうね……」
「エリエットぉおワシも魔法使うからモチモチさせてほ」
「国王様魔法使えないでしょ」
エリエットを狙う魔の手は全てを言い終わる前に叩き落された。
□ □ ■ ■ □ ■ ■ □ □
「フゥーハハハハハハ! さぁてお遊びは終わりだ小娘よ」
俺が風魔法発動に手間取っていた最中、ずっと戦闘を行っていたイリスへ魔王がそう向ける。
ヤツは笑い声を上げながら腕を大きく薙ぎ払い、風を起こす。
その言葉にイリスは身構えて魔王の一撃に備えるが……
吹き抜けた風はその海色の髪を波のように揺らして散る。
「……?
な、何も起こらない?
こけおどしとは魔王たるものが恥ずかしくないんですか……?
さぁこれでも喰らうのです……セイクリッドアロースピア!!」
アローなのかスピアなのか、なんてツッコミはさて置き。
「あ、あれ!?
セイクリッドアロースピア! クリスタルシャインブロー! セイクリッドシャインアロー!
どうして聖魔法が出ないのですか!? セイクリッドアロースピア!」
再び魔法を放とうとした彼女は動揺の声を上げる。
魔王はそんなイリスを前にニタリと笑みを浮かべ、満足そうに目を細める。
「ククク。
聖女と言えど、力を全て絶てばレベル0のおなごよ!
そのまま男達に惨めになぶられるが良い。アーッハッハッハッハッハ!」
イリスが何度も何か唱えても、何も起こらない。
彼女は何が起こったのかわからず、迫る観客に後退りしながら技を唱え続けている。
北の魔王の能力は『全てを切り裂く力』。
そしてイリスはついに魔王の力で、魔法が出なくなったのだ。
……だが、想定内だ。
「―――させるかよ!」
彼女に押し寄せる自我を失った観客に向けて、俺は腕を伸ばすと叫ぶ。
次の瞬間、ステージの上を風が走ると観客はステージ外へ吹き飛んだ。
そして突風はそのままステージ上にある、机や椅子全てを高く打ち上げる。
「……なっ!?
どうして貴様、魔法が使える!」
「さぁな! おるぁああ!」
戦いに於いて、不利な状況下で優位に持って行く方法は1つ。
それは相手の想定外を引き起こし、考える暇を与えない事。
「き、貴様、何だそれは!?」
強風に入り乱れる物に混じり、俺は自分の身体も打ち上げる。
それは飛翔とも浮遊とも言い難い物で、風に弄ばれるゴミ袋のようだ。
くそ、ぶっつけ本番な上にアホみたいに規模デカくしたもんだから……魔力消費がやっばい。
全身から、血の気が引くみたいに何か抜けてってるのがわかるわ。
イメージ的には物に隠れつつ、パルクール的な動きしたかったんだが……。
「ば、馬鹿なこの勇者……まさか魔法も扱えると言うのか!?
おのれぇええええ!!」
激しく動揺する魔王を前に、一気に攻めるべきだと判断。
「行くぜぇええええ!」
俺は腕輪から剣を呼び出し、強く握ると一足飛びする。
現状、エリスたちは魔法が使えない。
となれば
そうなるとエリスの力が戻るまで、俺が時間稼ぎをしなければならないと言う事だ。
邪魔な観客はステージ外に放り出され、気絶してそのまま動いていない。
サキュバス2人が残っているものの、俺の魔法でよろめくほどだし戦闘力はほぼ無いと見て良い。
となれば魔王だけをこのまま攻めれば―――!
「なぁんてな……ククッ」
不気味な笑い声が響いたかと思えば突然、空を飛ぶ俺の勢いが落ちる。
同時に風に煽られて浮いていたテーブルや椅子などの物が急に動きを止める。
「東と西を倒した勇者と聞いて、いくらか期待しておったのだがこれでは話にならんな」
その言葉と同時に、重力に逆らって浮いていた椅子もテーブルも落下を始める。
……やばい。この高さ、ラクに20m近くあんぞ。
そう冷静に判断したと同時に、俺の身体も重力に逆らえず落下を始める。
「くそ、何で風が出ない、何で!」
大声で叫ぶが風は答えない。
まさか俺も魔王に魔力を絶たれたのか?
いや、右腕にはゲルメンがある。
魔力を切られたなら、消えるはずだ。
「貴様に我が力が通じんなら、他を切れば良い話ではないか。
くくく、さぁ次はどうだ、どんな手を使ってくるのだ勇者よ?
貴様は選ばれた勇者なのだろう。真なる勇者なのだろう!
ならば見せてみよ、打ち破ってみせよ!
この逆境をなぁ!?
アーッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」
「くそがぁあああ
ダメージは出ずとも目くらましにはなるハズと馴染みのスキルを放つ。
……しかし、握り締める
「なっ……どうしてアマハバが出ねぇ……何でだ!?」
「ハルヒトさん!」
落下する中、俺に向けて悲痛な声が飛ぶ。
そしてその光景を前に魔王は満足そうに目を細め、腕を振り被る。
「さぁ、次は何を切り裂くとしようかぁあ……?」
残虐さを秘めた色が不気味に光ると、駆けるエリスへ向かって何かが放たれる。
―――マズイ。
今のエリスは力が使えない。
そして俺もこの高さは無事では済まない。
しかも魔王は俺が落下した地点を狙って、腕を振るった。
何か方法は、何か手は、と思考を走らせる。
だがそんな思考も直面する死を前に、容易く恐怖に塗り潰されていく。
そしてその恐怖の中から様々な後悔があぶくとなって、ごぷりごぷりと顔を出す。
くそ、もっと早く気付いて居れば。
風魔法なんかじゃなくて、別の魔法を覚えていれば。
他の属性がもし、使えていれば。
バカ言ってないで、トツカ以外の剣も扱えるようにしていれば。
もっと、何か、別の、他に―――そうすればこんな事にならず、どうにか出来たかもしれないのに。
そして後悔と共に、目の前は色を失っていく。
黒く霞み、音なのか耳鳴りなのかわからない異音が脳を叩き、意識も薄れていく―――。
「……やれやれ、なぁにをやってるんだ勇者よ」
聞こえるハズが無い声に、視界に色が戻る。
それは後悔の沼から俺を一気に引っ張り上げ、逃げていた意識を現実へ押し戻す。
「自身の助けとなる物は、過去と言う経験にこそ隠れていると言ったろう?
キミが自身の過去を思い返し、すべき事は後悔では無い。
足掻け、探せ、諦めるな。
貴様は東西の魔王と渡り合った、勇者なのだろう……?」
咄嗟に声の主を探すが、図書館から出られない小人の姿がある訳も無く。
そして都合よく助けが来てくれた訳でも無い。
しかしそれは、諦めの海から俺を這い上がらせる。
そして―――ここ数日の奇妙な出来事を、今を、客観的に判断する冷静さをくれる。
そうだ、諦めるにゃ早い。
しかしかと言って、助けは無い。
そして今、風魔法は……使えない。
ケド、魔力は……使える。
なのにアマハバは……発動しない。
状況は変わらず、絶望的だ。
いや、待て。
どうしてゲルメンが存在してるのに、アマハバは発動しない?
いや、この感じ……最近覚えが。
……確か女体化する、前の日の――――――
「
記憶の中から手繰り寄せた、その名を叫ぶ。
同時に俺の身体はステージの上へ叩きつけられ、魔王が放った見えない斬撃を受ける。
咄嗟にガードをしたが、如何せん高所から落ちたと共に一撃を受け、激痛が全身を支配する。
空気の抜けたボールのように俺の身体はステージの上をバウンドし、転がる。
「ぐっ!?」
ドラゴン倒してた時に比べたら、まだ。
東の魔王の時に比べたら、スライムん時に比べたらまだまだ。
まだ、マシだ。
イケる。
「っはぁ……ぐっ……」
「さぁすが勇者。あの高さから落ちても死なぬか。
では次はどんな手を見せてくれるのかな……?
アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」
左腕をだらりと垂らす俺を見て、ゲラゲラと魔王は嗤う。
それはカエルを嬲って悦ぶ性根の悪い猫のようで、弱った俺を眺めて楽しんでいる。
「ハルヒトさん!」
エリスが駆け寄るが、右手で止める。
乱れる呼吸を整えながら剣を左腰に宛て、俺はゆっくり腰を落とす。
そんな挙動を前に魔王は目を細め、脇に立つサキュ2人も笑い顔を浮かべて何もしてこない。
それは強者の余裕と言った様子で、俺の足掻きがどんな面白い物かと期待した表情をしている。
―――緊張の中、右手のトツカノツルギはいつものように鈍色を帯び。
それは大丈夫だと語りかけているようだ……。
いつもの剣色に俺は安堵を覚え、
「
横一線に……ただ剣を薙いだ。
それは剣閃にもならず、ただふぉんと間抜けな音を奏でた。
その勢いで弱々しい風が生まれ、魔王のマントを軽く靡かせるとすぐに消えて行く。
「何だ、何かしたのか?」
俺の決死の一振りを前に、魔王は素っ頓狂な声を上げる。
脇に立つサキュ2人も同じく何をしたのかと見渡し、
「ふ、ふふっ……アハハハハ!
何をしたかと思えば風を起こすだけか、終わりか、終わりか勇者よ!?
アーッハッハッハッハッハ!
決死の一撃が不発とは、末代までの笑い種ではないか!」
ゲラゲラと大笑いする魔王を前に俺はフラ付きながら、顔を上げると同じく笑って見せる。
「……ああそうだな、末代まで語り継がれるかもな。
北の魔王を倒すほどの、勇者ってな」
「ククク、貴様は何を言って」
その瞬間、ごとりとステージの上で響き渡る。
魔王がその音を目で追えば、先程まで傍らに立っていた美女2人が倒れ込んでいた。
「マ、マヴェリア!? ラムリア!?
どうしたのだしっかり……え、なにこれ。
何このやわっこいの……マシュマロ?」
従えていた2人が倒れ、更には自分の身体に起きた異変に魔王は声を上げる。
そして魔王はガクリと膝を突くと呻き声を上げ、
「お、お前達しっかりしろ!
2人が居なくなってしまったら我のふとももライフは……ぐ、ぐぅう!
お、おのれぇ貴様、何を、何をしたぁ……!?
……魔王の魔力を斬るなど、魔術をカウンターするとか、聞いた事無いぞ。
くそ、くそぉ……このままでは我の野望が……ふともも王国建国の野望がぁ!」
「あらぁ……そんなにふとももがお好きなら、こう言ったものはどうかしらぁ?」
「ほんげ!?」
苦しむ魔王の背後より、エリエットがどかりと腰を下ろす。
エリエットの紐スタイルのせいも相まって、どっかの女王様プレイみたいになってるんですが。
「貴様ぁあ!
仮にも魔王たるこの我を尻に敷くとは良い度胸……。
あ、でもこの感じ悪くないやもしれん。
重圧感に混じって伝わってくる柔らかさと温かさ、そして上から覗き見える足―――
じゃ、じゃない! 人を椅子のようにするとは貴様っ」
「そう言いながら嬉しそうなのは気のせいかしらねぇ? ほらぁ」
「あふん!? お、おおおおいやめろ貴様、良いお年頃の女子がそんな事を」
ビーストスイッチの入っちゃったエロエットに弄ばれる魔王……。
てーかどう見ても18前後の女子がする事じゃないっすよソレ。
「ほぉ~ら、更にこうしたらどうなっちゃうかしらぁ? シンゲル・スパークバインド♪」
「おふをぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
これじゃどっちが悪の権化かわかりゃしないんだが……まぁ助かったケドさ。
魔法使えてるって事は力戻ったんだな。
これでもう大丈夫そうだ。
そして展開する軽いアダルトワールドを眺めていると、
「魔王さん魔王さん。そんなにふとももがお好きでしたら、自分の膝枕とかいかがでしょうか?」
ウチの女神さんが飛び入り参加し、魔王の前でお姉さん座りする。
白パレオ姿のエリスは風でなびく髪に手をやりながら、小首を傾げて微笑むその様はまるで天使だ。
ごめん魔王、ちょっとそこ変わってくんね?
「お、おお……痴女に弄ばれるのも悪くないがあどけない少女による膝枕も素晴らしい……。
そして恥ずかしながらも手招くその姿はまるで天使ではないかぁ。
―――よっと、ではお言葉に甘え失礼させて頂こうか」
魔王はそっとエリスのふとももに頭を乗せ、その柔らかさにご満悦の表情を見せる。
「これは素晴らしい柔らかさと温か―――いや、ちょっと熱いな。
いや、凄く熱いな。
ヤバイくらい熱いな……ってあっちゃぁあああああああコレ
お前、見るからに力ほとんど無いのにどうなって……って
「わー! 何か楽しそうな事してるハァーイ!フェリちゃんも混ぜてーやっほいドーンッ☆」
「ほげぁ!?
おま、今の今までどこに隠れて……あっち、
「ふぉおおおぉモチモチおっぱい取ったどぉおおおおおおお!」
「国王、き、貴様ぁああ! ちょ、マジやめんか、人の胸をまさぐるなって、らめぇええええ」
更には突然姿を現わしたフェリも追加され、国王も飛び入り参加で女体化魔王の胸へダイブ。
色々カオス過ぎませんかねコレ。
「おのれ、魔王最強と言われた我がこの様な、こんな形で消滅など……ぐあぁあああああああ!
―――って国王、お前おっぱいに顔埋めんなぁああああああああああああああ」
魔王の悲痛混じりの断末魔が響き渡ると黒煙が立ち上り、カーラの姿に戻る。
終わったか……。
ぐら付く中、視線を動かせば腰が抜けて座り込んだままのイリスと目が合う。
ああ、良かった。
怪我無いみたいだな。
「うそです、変態勇者が魔王を倒すなんて……そんな非常識が」
「大丈夫?」
「ゆう、しゃ……さ……、
だ、大丈夫です! これくらい何ともありませんかしら?」
声をかけるとイリスは気まずそうにそう答え、いくらか目を逸らす。
しかしまだ恐怖が残ってるのか、彼女のか細い肩は小さく震え、よく見れば目元に涙が見える。
まだ気丈に振舞ってるが、隠し切れてない辺りが女の子だな。
「怖かったよな」
「いえ……あ」
手を伸ばせば小さく返して、彼女は固まる。
彼女的には色々言った手前、どうしたらいいかわからないのだろうか。
確かにショックだったケド、自分でも自覚してた内容もあるし……そこまで気にしてない。
「どうした?」
硬直したイリスへそう言葉をかけ問題無いと微笑めば、
「わぁあああああぁ変態変態変態最低よらないで下さぁあああああああいっ!!」
金切り声混じりに全力拒否される。
俺は唐突の絶叫を前に思わず耳を塞ぐと……
ストン。
なんて布が落ちる音が響く。
恐る恐る視線を降ろせば…………帰宅した
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