第2集 無音

「無音」


登校の中学生がわめき立つ「今日って席替えじゃん!」そりゃいいな


うすあおく追いかける者逃げる者蝶の世界に食い逃げあるか


つらすぎて笑っちゃうよというふうに朝の車道を枯葉ふらつく


通販のサイト見ている妹の背中しなやかアニマルに似る


ケーキ屋のケーキをおいしく見せるのは下からの白い照明とみた


厨房から客の様子を知るための窓であろうかタオルが見える


スーパーを出れば夜空の冷え込みのヘッドライトの風のしずけさ


ボロいなと思い見ていた住宅の中からワッと笑いごえ立つ


葬儀屋の内側で鳴るピアノだろう通過車両の音にまぎれて


まがまがしい力渦巻くパトカーの赤が無音で夜を照らせば

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