第4話 父親
愚痴です。行動には移しませんのでお許しください。また犯罪行為を推奨するものではありません。それでは、
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トロロロロ、トロロロロ。
チャイムの音が聞こえる。
父親が帰ってきたのかな。出迎える。
こんこん、「あけてくださーい」、こんこん、「あけてくださーい」
いつものルーティンだ。一軒家に住んでいた時は一回だけお隣さんに通報されたことがある。なんでだろうか。
閑話休題
僕の両親の話をしよう。
僕は別に父親が嫌いではない。母親も嫌いなわけでもない。普通だ。僕基準で普通に好きである。だけどたまに建物に一人きりになりたいことがある。小学生から変わらず小3の頃には一人で近くの森へ行き3日ほど立てこもった。飲まず食わずだが何とかなって自力で戻ってきた。捜索願は出てたそうだ。
両親はどちらも有名な大学を出ている。頭がいい、知識というだけでなく回転が速いのだ。僕も中学1年までは100点のほうがそれ以外の点数より多いほどには秀才だったと思う。ただ、人生というものにおいて楽しいとは感じなかった。大多数と同じく勉強は苦行だった。それが変わったのは父親の海外転勤が決まってからだ。イタリアへ行き、イギリスに行った。イタリアは日本人学校だったが目に見えて成績が落ちていった。そしてイギリスでは知識ではなくレポートで評価された。英語ができないうちはともかくだんだん成績が上がっていった。そこから勉強が楽しくなった。しかし最終学年に入り知識問題のテストが始まると僕の成績は下がっていった。勉強が楽しいのに成績が振るわないのだ。さして興味のない教科だけ上がっていく。高校3年生で帰国。高校に編入するが。成績不振は変わらず。親の失望が目に見えた。
おそらく両親は僕に期待していた。だからといって彼らは浪人しろだとか暴言を吐いたりはしなかった。ありがたかった。これは本心のはずだ。事実、我が子自慢をして、名門大に行かせる、そのために彼女を作らせない、友人を選ばせるという化け物どもを見てその子供を憐れんでしまう。そんな親見限って逃げればいいのにと考える。というか伝える。本心だからだろう。なのに親の顔を見るたび殴りたくなる泣きたくなる折りたくなる。たぶん自分が寂しくなったんだろう。
自己のコントロールが効くようになってからこの気持ちに気が付き始めた。いやだからこそなのかもしれない。なんにせよこの気持ちをコントロールしながら親と接することは簡単だった。そこは幸運だったといえる。
しかし父親がお母さん―つまり僕にとっての祖母―を連れてきた。僕が大学に入ってすぐだ。僕の平穏を乱すものがまた一匹増えた。しかも知らされたのは一か月弱前、相談もなく決定事項として、まあペットを飼ったと思えばいい。いつもの通りコントロールを効かせよう。当時そう思った。しかしもう一つ懸念があった。母親だ。彼女にとっては義母が来るということで気を遣う。母親は僕に期待をしていたと思う、そしてそれを僕が折ったわけだ。僕としても勝手に期待されても困る。おそらくは親も同じことを考えたのだろう。僕に直接的な物言いはしなかった。でも精神的には少し傷ついただろう。そこへ義母のプレッシャーだ。
結論を言おう。母が壊れた。小さなひびが決壊し漏れ出した。しかしさすがは僕の母親だ。前の母を演じている。僕と母が狂っただけだ。
僕は父のことが嫌いではない。よくできてると思う。少なくとも損女装子らのモンスターどもとは比べること自体ひどいだろう。だが祖母は正直嫌いだ。孫を可愛がる。行為自体はいいのだがうっとおしい。一人になりたい。独りになりたい。だから、
でも、まだ何もしない。連鎖は怖いから。そして僕は寂しがり屋だから。
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