第19話 井戸端会議
女騎士に優しくボコボコにされました……
強すぎるよ…… 何度か
女騎士は近くで見ると思ったよりも若いみたいだ。
前回の戦いで見たときは大人の女性のシルエットだったから、もっと年上だと思ったけど、ちょっと先輩くらいかもしれない。
「アロ!」
普段はぶっきらぼうだけど、なんだかんだで優しい。
女騎士と互角に戦っているけど、魔力が
一人で神官戦士達の相手をしていた
半兵衛さんはそれを見て
「た、退却、退却」
奴隷管理人がそう叫ぶと、奴隷達は我先にと逃げ出した。
奴隷管理人の逃げ足は目を見張るほど早かったよ……
「ハーヴェン殿! なぜこんなところに」
「オールソン殿!?」
ちょっと
この人も神官戦士みたいだけど、半兵衛さんと知り合いなのかな?
「私の攻撃を受けて、意識があるのか?」
倒れている僕の前に、いきなり女騎士の顔が近づいてきた。
お人形さんのような
それに、夜のコンビニに
「ここでは話も出来ませんから、
小太りおじさんの提案で、神官戦士に
その後、神官戦士達は規則正しく、食事と
倒れた、関羽と張飛も先ほど目を覚ました。
「人間よ、答えよ。なぜ神気を発している?」
僕は首を
女騎士から3度同じ質問をされているけど、神気なんて発している覚えはない。
「それは僕も神気魔法が使えるということでしょうか?」
「…… 人間よ、答えよ。なぜ神気を発している?」
堂々巡りだ……
「いや~ こんなところでハーヴェン殿にお会いできるとは
「いえいえ、オールソン殿もご
小太りおじさんと半兵衛さんは知合いみたいだ。
仲が良さそうに世間話をしている。
半兵衛さんは敵軍の貴族だったって聞いたから、お偉いさんと顔見知りなのは当然なのかもしれない。
「――― 人間よ、答えよ。なぜ神気を発している?」
5回目の質問。何のことを言っているのかも分からないから答えようがない。
光の羽があったり、『人間よ』なんて意味の分からないことを言うってことは、この女騎士は女神様とかなのかな?
困っていると、女騎士が突然、全身の金属鎧を脱ぎ始めた。
ちょっと何してるの!?
体にピッタリの
「答えないのならば、
重そうな両手剣を片手で持って、こちらに突き付けてきた。
さっきもボコボコにされたし、僕は戦いが好きな訳じゃないんだけど……
「関羽に張飛、お前達も
あれ? 女騎士と会っているときに関羽と張飛って呼んでいないと思うんだけど、なぜ名前を知っているのだろう?
神様的に心が読めるとかかな?
「私は神ではない、天使のヴァルキリー。心は読めない」
いやいや、読めているよね?
「読めていない」
女騎士、いやヴァルキリーが上段から両手剣を振り下ろした。
何気ない動作だけど、ブォンという不気味な音が通り過ぎる。
関羽が引っ張ってくれなかったら、頭が割られてたんじゃないかな?
振り下ろした瞬間を張飛が槍で突くけど、下した両手剣が重力を無視して跳ね上がり、張飛の槍を弾いた。
今度は張飛のがら空きになった
ボキッ
ヴァルキリーの腕が折れた。骨が飛び出していて痛そうだ。
「オールソン殿、最近はどうしておられたのですか?」
「
「苦労されていますね。籠城戦しないように散々言ったのですが、ダメでしたか……」
腕が折れたのをチャンスと見た関羽が
ガッ!
急に現れた光の羽が関羽の槍を止めた。
関羽はすぐに飛び退き、代わりに張飛が槍を入れる。
張飛の槍を両手剣が防いだ。いつの間にか折れた腕が治っている。
「苦労されてますね。あの城で籠城戦になると兵士は大混乱でしょう」
「ハーヴェン殿もやはりそう思われますか、だから
「たった百人でですか? 普通は不可能だと思いますが…… きっといつものきまり文句を言われたのですね」
「ええ、『吾輩の辞書に不可能という文字はない!』、
ヴァルキリーの後ろに居たのに、張飛の攻撃を弾いたそのままの勢いで横なぎにされた。
槍の
関羽と張飛がすぐにフォローしてくれたけど、もう少しで追撃されてやられていたかも……
「まあ、もちろん勝機がないのにそんな無茶はしませんよ。実はここだけの話、聖女は本物の天使ですからな、近くにいれば神気が
「天使ですか!? 確かに神気魔法が無限に使えるのでしたら勝機はありますね」
「吾輩と違ってハーヴェン殿でしたら、東の砦と言わず、全ての砦を落とせるでしょうな」
「いえいえ、中距離戦術はオールソン殿には
誰か一人でも
今度は油断しないぞ!
三人で連携して攻撃していく。
攻撃は
「ただ、東の砦を落とせませんでしたから、辺境伯補佐の言う通りにしないといけませんな…… 城に入るか…… 籠城戦で負けるとなると逃げるにしても兵士と民間人が北門に大挙して大混乱でしょうから、行きたくはないですな」
「そうですね。損害なしで逃げるのは難しいでしょうし」
二人はお茶を飲みながらゆったりと話を続けている。
…… ええっと、半兵衛さんと僕達の温度差は何なの!?
◇◆◇◆◇◆
私はヴァルキリー、ウルド様に
英雄達の魂を追って異世界に来ましたが、追ってどうすれば良いかは分かりません。
何もしないと怒られると思ったから来ただけです。
ジャンヌ ダルクの魂をすぐに見つけることができたのは幸運でした。
私達神族と相性が良いですからね。すぐに乗っ取り……
いえいえ、
戦闘は楽しいです。戦乙女の血が
神官戦士達が私の神気を勝手に使うのは
チームは大事にしなければいけませんからね。
東の砦を落とすというので、向かいました。
神官戦士長に抱き付かれたくないとのことで、
このまま、この砦を落とすのは簡単ですが、後ろから
神気を使う者ではなく発する者です。
最下級の天使か、神器を与えられた者か、私みたいに
気になるので、神官戦士長は放っておいて、見に行きます。
何か叫んでいますが、気にしなくても良いでしょう。
なぜ神気を発しているのか聞いているのに答えてくれません。
天使でも神器でも憑依でもないようです。
私は心は読めませんが、ウルド様の力を借りて過去は読めます。
あ~ まだるっこしいですね。
うん、そういうものです。
関羽と張飛の魂を持つ二人もヴァルハラの時よりも弱くて気に入りません。
三対一で
掛かって来なさい。
『きゃ~ こんなところでなんで鎧を脱いでいるのよ!』
ジャンヌいえ、カトリーヌの声が聞こえます。
脱いだのは動くのに邪魔だからです。
『女性としての
相変わらず
『――― う、腕が、腕が!』
ちょっと無理をして折れただけです。
騒がないでください。すぐにくっつきます。
この神気は…… 神様の卵でしたか……
何百年後か何千年後か分かりませんが、そのうち上司になる方です。
新入社員が入って来たと思ったら、社長の息子だった感じでしょうか?
遅いかもしれませんが
「あ、カトリーヌさん。彼と結婚しませんか? 同い年で将来は良い男になるのは確実ですよ。天使の保証付きです」
男神は色を好む傾向にあります。
女性を紹介するのが仲直りに丁度良い気がします。
『な、何を急に言い出すのよ! 私はまだ初恋も……』
ほぼ下着姿ですから、このまま
「き、きゃ~」
あれ? 勝手にカトリーヌから抜け出てしまいました。
あ、ウルド様からの
ちょっと嫌な予感がしますが、帰らないと。
カトリーヌ、ということで
パスは
私ってば太っ腹ですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます