第10話 魔物殺しと報奨
リンゴを食べた
犬にチョコレートをあげてはダメなのと同じなのかな?
ちょっと効果があり過ぎな気がするけど……
まぁ、
それにしても、血が止まらないな……
張飛に
「アロしっかりしろ!」
魔法使い風の人がなにやら魔法と唱えて杖を振り下ろすと、白い
もしかして、回復魔法? これで助かるかもと期待したけど血は止まらない。
集まっている兵士や奴隷が絶望的な顔をしているから死んじゃうのかな?
ああ、なんか寒くなってきた。
「熱!!」
肉の焼けるジュージューという音と良い
僕を助けるためなんだろうけど、ひどいよ関羽―――
次の日の明け方、奴隷管理人に無理やり起こされた。
関羽に傷口を力ずくで
傷口は
「tatyuo」
これは「立て」だったかな?
立とうとしたけど足に力が入らない。
倒れると思った瞬間、関羽と張飛が両側から支えてくれた。
「ありがとう」
本当に
関羽と張飛と出会っていなかったら、とっくに死んでたんじゃないかな?
ちょっと、
管理人に連れられてテントの中に入った。
あ、これ、いつも僕が運んでるテントだ。
中に入ると強そうな
真ん中に
「thobo stiro」
ええっと、進めって意味だったかな?
フラフラするから、かなり力を
必死に進むと奴隷紋の効果で頭が痛くなってきた。
あれ? もしかして進めって意味じゃなかった?
振り返ると関羽と張飛は
一人だけ前に出るような
神経質そうなおじさんが引き
「bei obka ldlaep? jjfoek. fkakof, klete mklste tyoerokee saleiro haiy bromoro mi doroyra」
長文を早口で言われると何を言っているのかさっぱり
「saa, sogi hie na buroo cano doroyra」
助け船だと良いんだけど…… あれ? おじさんが絶望したような顔をしてる。
「hwat obka ldlaep wi na buroo ―――」
ひゃ~ なんか
とりあえず、
傷が痛くて上手く笑えてるか解らないけど………
「っ!」
着ているボロ布に血が広がった、無理したから傷口が開いたかな?
そういえば
そこに
まさか湧いてないよね!?
ビリッ 「あ!」
慌ててボロ布を引っ張ったら
左肩から腹の上くらいまでの大きな傷とそれを焼いたスコップ型の
ゴクリと
上半身がほぼ裸なので恥ずかしい。
「…… ku saleiro haiy bromoro mi doroyra en re gorogo ryoko」
僕を見て神経質そうなおじさんが
そ、その熱せられた
ジュッ、「熱!!」
こんなのばっかり―――
◇◆◇◆◇◆
私は
一応貴族だが最下級なので
まさか私が予備戦力の責任者にさせられるとは……
子爵様の命令だから断れない、でもやりたくない……
好戦的な国王の下、
こんな老兵士と奴隷の寄せ集めじゃ、いざという時に私の身が守れない。
ただ、
――― いかんと思っていたが、これは逃げても良いだろう。
そう、あのブラッディウルフ! 精鋭の騎士100人がやられたこともある相手だ。
世界トップクラスなら一人で
騎士諸君、自信があるならば戦う
あ、はい、くだらないこと言ってないで早く逃げよう。
山を一つ分逃げた先で伝令魔法が届いた。
何も言わずに6人の騎士と逃げ…… 転進したため伝令兵も困ったことだろう。
全滅は
どちらにおられるのか? って、いやその…… ええっと…… そ、それよりも討伐したのは誰だ? うちにそんな強者がいたか? ドワーフ達…… そうか、あの悪名高い北集落のドワーフか…… よし、疲れているだろうから日が昇ったら
ああ、お前も疲れているだろうから休め!
ふぅ、なんとか
しかし、運が向いて来たではないかブラッディウルフを倒せる
魔力を
相手の同意が必要だが、ある魔法で魔力の移動をさせてやれば討伐記録を
これは貴族だけが知る秘密だ。
この魔法で
ブラッディウルフ殺しの男爵! 最高に
ええっと、ドワーフが二人となんだこの子供は? え? ブラッディウルフを倒したのはこの子!?
「そこに
奴隷管理人が
もしかして私達が怖がって逃げたのを知っているのか? ブラッディウルフを倒すほどの者なら子供に見えても
何か
わ、私達を見下しておるのか!?
「お前がブラッディウルフを倒したのか? 信じられんな。まあいい、奴隷紋を1つ消してやるからさっさと討伐履歴を俺に渡せ」
「男爵、申し訳ありませんがこいつは袋なしです。譲渡はできません」
な! なんだと~ 魔力袋は心臓の横にある大事な臓器だ、これがないと魔法は使えないどころか回復魔法などの支援魔法を受け入れることもできない。
ごく
「なぜ、袋なしが、ブラッディウルフを倒せるのだ?」
袋なしの子供がニヤリと笑うと服の前を
「うっ!」
肩口から腹の上までに真っ直ぐに伸びるブラッディウルフの
今も血が
あまりの迫力に圧倒されゴクリと
袋なしの子供が顔を上げたので慌てて目を
「……奴隷紋を2つ消してやれ、後、ちゃんとした武器の使用を許す」
う、うん、討伐記録の譲渡は諦めた。
奴隷紋を10箇所焼き消せば解放になるが、今までに達成した者を見たことはない。
ただ、なんとなく、なんとなくだがこの子は達成する予感がした。
それならば多少の
奴隷紋を2つ消したのも、武器を許可したのもこの子が怖かったからじゃないぞ!
だから騎士諸君そんな目で見るな、君らも圧倒されていたのは知っている。
そう我々は運命共同体だ!
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