第2話 ガールズロックに酔いしれて

椎名林檎を聞きだしたのは、いつごろだろうか。

中学に聞いてたらやばかったな。きっと世界観にどっぷり酔いしれて痛い女の子になっていただろう。

椎名林檎の面白さはそういうところでなくて、例えば一緒になってリスカしてくれる女の子を待つわけでもなんでもなくて、ただ痺れていればいいのだ。

出来たらヘッドフォンの気の利いたのなんか手に入れて、痺れて聞いていればよかったのだと、今なら思う。


ダークファンタジーと女の子の毒っ気の利いた可愛さを、この人はたっぷり持っている。

始めの頃の群青日和なんか聞いてる今、可愛さにくらっと来ている。


コメント欄に「抱きたい~、いや、抱いてほしい!」とあり、ああそれもありなん、と思う私はどこの変態だ。変態欄としっかり書かれている。


私は今もっぱら体調管理に目覚めたばかりで、自分なりのものを見つけようとヨガをしたり体操したり柔軟したりと忙しない。


あの頃これを聴こうよ、夏、この歌いいよ、と持って来てくれた友達にも呆れられるほど音楽に疎く、静寂が好きだった自分が今でも変わらずいるのを知っている。


たまには聞きたくなる音楽も、最近流行りの物でなく昔の歌ばかりだ。だれだれのデビュー曲とかそんなんばっかり。


ここに、ブルーハーツの皆殺しのメロディを投入してみる。


するとだ、大爆発!!


それまでの価値観、タブー、隣人への既視感、全てぶっ壊れる。

真面目ってこういうことだ!と思う。


その後は日曜日よりの使者を見て、それからはウルフルズばかり聞く。

とにかく笑えればとかを聞いてpvを見る。


と、弟君がひょっこり顔を出した。


「たばこ代、くれへん?」


「だめ~」


彼は禁断症状に苦しんでいる。言ってることも支離滅裂だ。

今が山だなと思う。これさえ越えればきっと後は下るだけ。


とりあえず超甘いコーヒーを淹れてやって、雪が解けたらまた歩きに誘おうと思う。

はいここで聖☆おにいさん投入~。


実はパソコンを始める前、ゲームボーイでテリーのワンダーランドを楽しんでいたのだけど、途中でぷつっと電源が落ちてしまった。ありゃ。


弟と一緒に弁当屋の隣の犬を見に行こうと言った。


弟は「うん」と言った。


弟と並んで見ていると、犬たちはわんわんと吠えて撫でてくれえ~撫でてくれえ~と鳴いた。


きっと忘れられない犬たちになるだろう。

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