第44話‐2

悲鳴のする方を見ると、あのピラミッドを逆さに置いた様な建物の前に、何時かのワーウルフが、人を襲い掛けていた!


「行くぞ!ガイバーン!」


「了解!」


俺はバイクのガイバーンに股がり、ワーウルフへと向かって行った。だけどワーウルフは軽く避け、ターンして来たバイクのガイバーンに股がる俺に、噛み付き攻撃を仕掛けて来た!


だけど俺はバイクのガイバーンから飛び降り、受け身で回転して立ち上がった。バイクのガイバーンも避け、両サイドから挟み撃ちを仕掛けた!


その時!


「もう殺させはしない!」


と蓬田さんが立ちはだかった!


「蓬田さん!何で!」


「蓬田ではない!我は魔竜王グランヴェルグだ!」


すると蓬田さんの姿が甲冑を着た、女の子に変わった!


「蓬田さんを元に戻せ!」


「この女は依代として借りる。霊体でしか我が身体では、大きい故、異世界への通路を通れないのでな。」


「くっ!」


「そうはさせぬ!」


と突然エリちゃんが空から現れた。


「貴様は青竜!」


「アルスナーダに帰るのじゃ!」


とエリちゃんが急降下して爪で攻撃を仕掛けた!


アルスナーダから来た!?


「待ってくれ!エリちゃん!その子は蓬田さんなんだ!」


「我はエリちゃんではないのじゃ。青竜じゃ。このハーピーを依代にこの世界に来た者ぞ!その者はこの世界をモンスターの世界にするのじゃぞ!」


くっ!どうしたら良いんだ!


「何故この世界に来たんだ!」


「貴様に話す義理はない!と、言いたい所だが、一度青竜から護って呉れた義理がある、話してやろう。」


と言うと、グランヴェルグは坦々と語り始めた。


数年前、予言を受けた事と、その予言はこの先千年後に現れる獣魔の長によって、千年周期が失われる事、その原因がエルフを死滅させられる事だと。


そしてその後のアルスナーダが大乱の後に、死の世界に成り掛ける事、その世界を救いに黒きエルフが現れる事を語り続けた。


ん!?千年周期が未だ失われてはいない?確か以前アードラさんとリディアンさんが、獣魔の長に千年周期が失われたと言っていた。


「勇太よ!」


「ああ!」


グランヴェルグは過去のアルスナーダから来たんだ!


「黒きエルフとは何だ。その様な者はアルスナーダには存在しない。だから我が眷属を逃がす為、この世界に現れたのだ。」


黒きエルフ?ダークエルフの事か?


でもディーナさん、エルフの戦士の事が語られていない。


まさかこの出会いで、未来のアルスナーダが変化して仕舞ったのか!?俺は変化したアルスナーダに居たのか?これ以上の接触は避けた方が良いのか!?


でも此のまま放って置くわけには行かない!


「その黒きエルフは必ず現れ、きっとアルスナーダを救うよ。俺が保証するよ。」


「貴様が何故解る!」


怒る様に言葉を放つグランヴェルグ!


「戻るのじゃ!そして奴等とたたかうのじゃ!」


とエリちゃん、いや!エリちゃんに憑依した青竜が、蓬田さんに憑依したグランヴェルグに突進した。


「待ってくれ!」


俺は身を呈して蓬田さんに憑依する、グランヴェルグを護った!

だけど俺は吹き飛ばされて仕舞った!


「あのハーピーは味方じゃないのか!」


と避難する人達が叫ぶ声が聞こえて来た。


「何をしているのじゃバカ者!」


と俺に向かって叫ぶ青竜!


俺は吹き飛ばされて拍子にバルキリースターのヘルメットが外れて倒れ込んで仕舞った!そして人間に擬装していたフォログラムが解かれて!


「貴様は!黒きエルフ!」


とグランヴェルグが驚いていた。


「お姉様をよくも!」


と蓬田さんが怒りでグランヴェルグを乗っ取り、青竜に強力な禍々しい黒いブレス攻撃をした!


だけど俺も咄嗟に青竜の前に立ちはだかり、腕に気を集約して防御した。


「不味いよ勇太!あんなの何度も食らうと、幾らアンタでも殺られるよ!」


とガラナが話掛けて来た!


「あたしに代わるんだ勇太!」


「待ってくれ!俺が・・・やる・・・・」


俺は気を集約し始めた。


すると


「勇太の肌が褐色から白に、髪が銀髪から金髪へ!黒い目に金の瞳から白目にエメラルドグリーンへ!お主まさか!」


と驚く青竜!


すると!


「貴様は!・・・うむ、解った。帰るとしよう・・・・。」


と再びグランヴェルグに制御が戻ると、納得したのかそう呟いた。


「黒きエルフよ。いやエルフの戦士よ。後は頼むぞ。」


と言い残し、蓬田さんから離れ、多くの潜伏していた眷属達と、イベント会場の前の広場に1年後の世界に現れる円陣へと帰って行った。

グランヴェルグが離れ、倒れそうな蓬田さんに走り寄り、俺は抱き留めた。


「大丈夫?蓬田さん!」


少し朦朧とした感じで


「お姉様・・・やっぱりバルキリースターさん・・・だったんですね・・・それにダークエルフさんなんて・・・格好良い!」


と次第に意識がしっかりしたのか、行き成りしがみ付いて来た!


「あ!ちょっと!」


またか~い!


それにしても、何で俺がバルキリースターだと解ったんだろう?


俺は蓬田さんに聞く事にした。


「何で私がバルキリースターだと解ったの?」


「それはお姉様の匂いよ。」


「匂い?」


蓬田さんの話しだと、ハーピーから助けた時、蓬田さんが俺、バルキリースターにしがみ付いた時、俺の匂いに似ていたのに気付いたらしい。そしてもう一度北条さんの家で、俺に抱き付いて確信したと言っていた。


あの時か!抱き付いて何もしないで帰った時か!


「ちょっと~!何時までくっ付いてるのよ~!」


とウェブカメラの画像を見た紗理奈が、文句を言って来た!


は!こんな所を長谷川さんには見せられない!


きっと良からぬ事をさせられるぞ!


と言っても1年前の世界じゃ、俺の事は知らないと思うけど


「この動画は長谷川さんに見せないと行けないわね。」


と北条さん!


勘弁して・・・


「フォ!フォ!フォ!フォ!ではワシも戻るとしよう。」


「待ってください!青竜さん!」


と通信で北条さんが止めた!


「何じゃ?」


と応える青竜。


「確か以前私の家で我が名はヴィーヴィル、魔竜の子なりとおっしゃっていましたよね?」


「フォ!フォ!フォ!フォ!フォ!フォ!おお!あれはその方が格好良いからじゃ!」


やっぱり中二病だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


「去らばじゃ!」


と青竜も円陣へと帰って行った。


中二病の青竜って・・・・


「エリちゃん行っちゃったね・・・・」


と寂しそうに通信で紗理奈が呟いた。


「うむ!そうと解ればもう少し語り合いたかったな!ガハハハハハ!」


とバイク状態のガイバーン。


お前もか!


「此れでお役目御免かぁ~って!どうやって帰ろう!」


「あー!」


と皆で叫んだ!


「エリちゃんと一緒に帰れば良かったね。」


と紗理奈が言うと


「エリちゃんと一緒に帰ったら過去のアルスナーダに行って仕舞うわよ。まあ此れでもう少し空渡君をいじって(コスプレ)遊べそうね。」


と通信で北条さんが言った。


勘弁して・・・・


「さあ皆の元に帰ろう!」


「こらー!バルキリースター!待ちなさーい!」


と前の幹線道路からまたパトカーで警察が現れた!


「それじゃ蓬田さん。また!」


「お姉様!帰るって?」


俺は蓬田さんが関係者だと悟られるのを怖れ、蓬田さんを放し


「行くぞ勇太よ!」


とガイバーンはこの時代の垂直離陸戦闘機、F‐35Bにマテリアルチェンジして、俺は飛び乗りその場を後にした。

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