一夜
女王が会議へ向かった後、お腹がすいていたため、
ご飯を食べることにした。
食事は当番制で、私達もいずれは作らないといけないようだ。
食堂に入ると、女性がひとり、
せっせとお皿を洗っていた。
「あれぇーー?
1人来てると思って作ったら、まさかの2人じゃーん!」
ティーンネイジャーとも言える
若々しくアクティブな雰囲気を持った女性だ。
やはり、同じ目の色をしている。
この人達は、どうやら人の気配を感じ取れるらしい。
でも、1人って、、、。
「ちょっと待ってねー。
すぐ作るよーん。」
そう言ってすぐに支度を始めた。
かなり手際がいい。
相当に慣れているのだろう。
「はい、どーぞ!」
焼き肉と野菜のサラダだ。
それからありがたいことに白米がある。
私達は夢中になって食べた。
「これ、何の肉なんですか?すごくおいしい。」
和信が口を開いた。
「それー?熊だよ。
わたしが昨日狩ってきたのー!いい収穫でしょー!」
「く、熊ですか!!??」
私はびっくりしすぎてお箸を落としそうになった。
「熊狩るくらい朝飯前だよー!」
あんな巨体を一体どうやって狩ったんだろう、、、。
「私風羅(ふうら)って言うの。
君達の名前はーー?」
興味津々の顔で聞いてきた。
私達はそれぞれ名乗った。
「和信君に、和愛ちゃんかー。
2人とも和って漢字が入ってるのいいねー!」
にこにこしながら風羅さんが言った。
あまり漢字について意識したことはなかった。
「あはは、そういえばそうだね。」
私は和信の方を見て笑いかけた 。
和信もほんのりと笑顔を見せた。
「でも和愛ちゃん、全然気配ないねー。」
気配がない?
それは影が薄いってことかな、、、。
そりゃ、普段から静かだけど、静かさなら和信の方が口数は少ないじゃんか、、、。
「気を悪くしちゃった?えへへ。
でもね、気配がないのは特別なことだし、
むしろいいことなんだよ!」
そう言って風羅さんはにこっとした。
「さぁさぁ早く食べてね。
私も早く当番済ませてフリーになりかいから、あはは!」
そして晩ご飯を済ませた後、
私達は部屋へ戻った。
部屋に戻ったはいいものの、
気まずくてしばらく私達は微動だにしなかった。
「お風呂、、、入ったら?」
和信の方を見て言った。
「そうだな。そうする。」
さすがの和信も若干動揺しているようだ。
部屋に男女が2人いれば、そりゃドキドキする。
和信がお風呂に入っている間、
私はソファーで横になった。
猛烈な眠気が私を襲う。
シャワーの音が聞こえる中、
私は深い眠りへついた。
、、、、、。
「おい。おーーい。」
誰かが呼んでいる。
はっと目を覚ますと、タオルを首にかけ、着替えた和信が立っていた。
「風呂、空いたよ。」
「ありがと。」
そう言ってお風呂へと向かった。
カーテンの仕切りを締め、服を脱いでいく。
2日ぶりのお風呂だ。
シャンプーもボディーソープもある。
「なんだか、至れり尽くせりだなー。」
あまりにも待遇がよすぎて
違和感さえ感じた。
あの人達は、人間が嫌いとか、あるのかな。
色々と考えながらシャワーを終えた。
着替えてカーテンの仕切りを開けると、
今度は和信がソファーの上で寝ていた。
そっと彼の寝顔を覗く。
相当に疲れていたのか、ぐっすりと眠っている。
できるだけ距離を離れて
邪魔しないようにドライヤーで髪を乾かす。
「さ。私も寝るかな。」
そう呟いて私は電気を消して、ベッドに寝転がった。
ふかふかのベッドだ。
しばらく横になっていたが、
なかなか眠れなかった。
なんとなく、和信のあの腕が恋しくなった。
私はソファーへそっと歩みより、
和信の横に並ぶようにして横になった。
大きなソファーではあるが2人並ぶと狭い。
和信の寝息が頭の後ろから首に当たる。
とても心地よくてすぐに睡魔がきた。
「おやすみ、和信。」
そう言って眠りかけた時、
和信が後ろから両腕を回してきた。
すごく力が強い。
「バカ野郎。なんで来たんだよ。」
和信が言った。
和信の息が少し荒い。
彼の息が、私の首の後ろ側をふきつけ、
身体がゾクゾクしてくる。
なぜかはわからないけど、呼吸が乱れていく。
これは一体ーーー?
すると、和信が私の上にかぶさってきた。
私の胸に、そっとキスをする。
それだけで、身体が熱くなる。
身体が、反応してしまう。
「んん、、、、」
変な声が出てしまった。
抵抗できない。
和信が服を脱がそうとするー。
「ま、、、待ってよ!」
私は思わず突き放してしまった。
何がなんだかわからず頭が真っ白だった。
「分かったならベッドに戻れよ。
俺だって男なんだからさ。
抑えるの大変なんだ。」
和信の呼吸も乱れている。
「和信は、、、やったことあるの?」
なぜかとっさに聞いてしまった。
「、、、あるよ。」
和信が答えた。
「1年の時にな。
すぐ別れちゃったけど。」
「お前には内緒にしてた。ごめん」
「いつかはお前とやりたい。
って、俺は思ってる。好きだから」
彼はそういう思いでいたのだ。
なぜだか、嬉しかった。
「内緒にしてたことはいいよ。
でもやっぱりそばで寝たい。だめ?」
和信はため息をついた。
「じゃ、ソファーは狭いからベッドで寝よ。」
そう言うと私達は結局ベッドで並んで横になった。
「おやすみ、和信」
「おやすみ、和愛」
ー私達はようやく深い眠りへと落ちていった。
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