新事実

「ここがあんたらの部屋ね。」


そういうと鈴さんはドアを開けた。


かなり広い。

ソファーやテーブルがあり、お風呂もトイレもある。



「え、、、!」



私と和信は2人して声を上げた。


「ベッドが1つしないんですけど!!」


声が重なった。


「あれ?あんたらカップルなんだろ?」


鈴さんは若干にやにやとしている。

しかしすぐに顔を元に戻し言った。


「悪いがマジでベッドは1つしかないんだ。

だから片方がソファーで寝るとかして、工夫してくれ。

悪いね。」


そういうと鈴さんが


「ご飯は食べるとこ案内するから着いてきて。」


私達は鈴さんに着いていった。

すでに何人かご飯を食べている人がいた。


「一応行っとくけど、肉が必要な場合私達は狩りに行く。

野菜とかも近くの森から必要なだけ取ってくる。

だから食べ物は限られてるんだ。

食べ過ぎたらマジでぶん殴るから。」


鈴さんが笑顔で言った。



「は、はい、、、、。」



鈴さん、怖い、、。

でも自給自足なんて、、、!

なんだかかっこいい。


「電気や水は供給の役を担ってる人達がいるんだ。

ここからは遠いんだけどね。

彼らはめちゃくちゃ忙しいから私達がお礼に食べ物を供給してる。

ギブ&テイクってやつさ。」




「じゃあ水道代とかはないんですか?」


和信が質問した。


「水道代?ってどういう意味だ?」


鈴さんが不思議そうに聞く。


「いや、その、、、お金は払わないのかなって。」



「オカネ??なんだそれ??」



思わぬ質問を鈴さんが返してきた。


「よく分からんが、ここはそのオカネってのはないぞ。

基本ギブ&テイクだ。

何かほしけりゃ相手が納得するものを渡す。

そーいうもんだ。

だが水や電気も使いすぎるなよ。

働いてる人に負荷がかかるからな。」



「あと、こっちが庭だ。

リラックスしたいときはここでな。」


結局その日は1日かけて

端から端まで建物を案内してくれた。


「おっと今いる建物を言い忘れたな。

ここは女王も住んでる宮殿なんだ。

全然豪華な感じしないだろうけど。」


じょ、女王!?


「女王様がいるんですか、、、!?」


私は驚きながら質問した。


「まぁな。けどまぁ普通のやつだよ。

私なんか小さい頃から知ってるからな。

別に着飾ってないし、パッと見じゃ通りすがっても気づかないと思うぞ。

ただ頭はきれるし戦いも強いんだ。

ここにいるやつらは誰も勝てないな。

それに他国からの信頼も厚い。」


「ちなみに私は医者だ。」


鈴さんはウインクした。






「さてと。今から女王に会いに行くぞ!

とりあえずこっちも色々知りたいし、

あんたらも知りたいだろ?」


「はい!」


そうして私達は宮殿の奥へ奥へと進んでいった。


木造だがなんとなく洋風も混ざっているような

不思議な内装だ。



「よーしここが女王の部屋だ。

と言ってももう気配で気づかれてるけどな。」


気配、、、?


「さ。入るぞ。」



ーガチャ。



私達はドキドキしながら部屋へと入った。


「思ったより早かったな鈴。」



威厳に満ちた雰囲気を持った女性が目の前にいた。

つやつやのポニーテールの黒髪に、黒いピアスをしている。

黒髪を結っている髪留めは、黒と金色で輝き、何とも上品だ。

前髪は横に流している。



目はやはり深い藍色だ。



「こんにちは。私の名前は紗世。よろしく。

鈴はもう仕事に戻って。」


「あいよ。

じゃ、お前らまたな。」


鈴さんは手をあげて部屋を出た。




なんだろう。

やっぱり、女王っていう雰囲気がある。

隙がないというか。

すごく綺麗な人、、、、。



「さて。何から話をしようかしらね。」



力強い目で女王がこちらを見つめる。



「あなた達は、確かトウキョウというところから来たって言ってたわね。」


「、、、はい。」


「なるほどね。同じ日本という国から来ているあたり、

なんとなくどこから来たのかの察しはついたわ。」



「あなた達は、別の宇宙から来たのね。」





「、、、、はい?」





私と和信は同時に答えた。



「あら。やっぱり知らないのね。

と言っても私達も全部知ってるわけじゃないんだけどね。」


女王が優しい表情で続ける。


「私達の先祖から代々伝わる情報を合わせると、

分かっている限りでも宇宙は少なくとも6つあるわ。」



また衝撃的なことだった。

魂生命体のことを聞いた時くらいの衝撃だ。



「あなた達はきっと、1番最初にできた宇宙から来たんだと思うわ。そこを私達は1番目(ファースト)って呼んでる。」



「じゃあここはどこか。

2番目(セカンド)よ。

でも2番目(セカンド)は特別なの。

ほとんど1番目(ファースト)のコピーみたいなものだから。

あなた達はきっと誰かの力でここに飛ばされたのね。

でも、知ってるんでしょう?飛ばしたのが誰なのか。」


「はい。ネイという、魂生命体だと思います。」


私は真剣に答えた。


「魂生命体ー。なるほど。面白い呼び方ね。

2番目(セカンド)では白獣(はくじゅう)って呼ばれてるの。最初に発見された時に、真っ白な獣の姿をしていたからその名がついたのよ。

後々白獣達は何にでも擬態しちゃうことがわかったんだけどね。」



なんだか呼び名の違いが合っておもしろい。

しかし、まさか宇宙が6つもあるなんて。

私達にとって宇宙1つですら無限に感じていたのに、、、。




「和愛ちゃん。あなたには特別な力があるわね。」




特別な力、、、、?

それはもしかして魂生命体との関わりのことだろうか。




「ちなみに、1番目(ファースト)と2番目(セカンド)は

元々ひとつだったのよ。」


「その証拠に、両方に日本って国があるわけだからね。

元々日本も1つだったのが2つになっちゃったわけ。

白獣が、、、。いや、魂生命体がわけあって2つに分裂させたのよ。」



話がかなりぶっとんでいるけど、

的は得ている。ちゃんと繋がってる。




「またその理由やあなたの特別な力については明日話すわ。

今日は疲れたでしょうから休んでね。

私は少し会議があるからそっちに行かないと。」



そう言って女王は私達と一緒に部屋を出て、そのまま会議室へと歩いていった。




ー特別な力、、、、か。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る