未知

冷たい地面の感触が顔に触れる。

どのくらい気を失っていたのか。

目を覚ますと、辺りは背の高い木々が

たくさんそびえ立っていた。

木々の葉は日光をさえぎり、わずかな木漏れ日が差し込んでいた。



ふと横を見ると、和信が隣にいた。

腕を掴んでいたのは和信だったようだ。

1人じゃないことが無性に嬉しかった。


彼は気を失っているようだ。


「ねぇ。起きて。」


和信を揺すったが起きない。


「ねぇってば!」


さらに強く揺すったが起きない。


もしかして死んでるなんてことー。


恐る恐る胸に耳を当ててみる。



「!!!!」



和信の両手が私を包み込んだ。


「よかった。無事だったんだな。」

「うん。ありがと。」


和信の心臓の音がはっきりと聞こえる。


「あったかいね、和信。」

「当たり前だろ。生きてんだから。」


そして和信は手を離した。



心臓が破裂しそうだった。

和信の温もりがまだ残っている。

そして私はこんなどこなのかわからない場所で、

自分の気持ちに気がついてしまったのだ。


いつからなんだろう。

こんなに愛しいなんて。

こんなにも好きなんて。


「和信、腕、掴んでくれたんだね」


すると和信が答える。


「分からねぇけど、なんとなくお前が消える気がしたんだ。

考えるより先に身体が動いた。」



和信が若干照れくさそうにそっぽを向いて話した。




すると、遠くから何か音がした。


目を凝らすと、

木から木へと何かが飛び移りながらこちらへ近づいてくる。

木と木は数メートルは離れている。

ものすごい運動能力だ。


私達はすぐに警戒した。


しかし、それはよく見るとなんと人だったのだ。


上下黒い服装。

目から下は黒いマフラーのようなもので覆われている。

私達から10メートル程離れた所で動きをとめた。


ー刃物を持っている。



身体中に嫌な汗が吹き出す。



少し暗いせいで性別すらよくわからない。

こちらをずっと見つめている。



私は勇気を振り絞って話しかけた。

ここが一体どこなのかが分かればー。


「あの、、!ここがどこなのかわかりますか!?」


必死に叫んだ。

その黒い服装の人は目を細めた。

そのまま木から飛び降り、こちらへ歩いて近づいてくる。



ほんの2メートル手前で止まった時に、その人が口を開いた。


「なぜここに人間がいる、、、?」


驚いた表情をしていた。

しかし、すぐに私たちを見下ろすと、



「悪いな。人間を助ける気はない。」



そう言うと、再び木へ跳び移り、去っていった。



人間を助ける気がないって、、、?

さっきの人は人間ではないのか。

一体これはどういうことなのか。


和信が小さな声で言った。


「一体ここは、どこなんだ、、、!」

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