第14話 白雪激怒する
長く一党支配に近い政権が続いた日本。
特に不満は感じなかったが、変化を求める声も確かにあった。
そんな声は選挙を前に日増しに大きくなり、なら一度野党にやらせてみるか?という考えにマスコミも乗っかり急速に広まってゆく。
2009年――長く日本を動かしていた自由人党が破れ、野党だった友人党が政権を奪い取った歴史的な年だ。
新たな政府には、前政府が国民に秘匿していた重要情報も引き継がれる事になる。
それは――白い宇宙船の正体だ。
あの白い宇宙人が日本の国籍を持ち、日本人として、この国で暮らしているという驚くべき情報だ。
総理大臣と極一部の政府関係者にのみ引き継がれる極秘中の極秘情報。
もし日本に彼女が住み着いた場合、静かに暮らせるよう配慮してくれという米国からの要請に基づいたものである。
今回の政権交代後にも米国大統領から新総理に対し同様の要請が届いている。
極秘情報を知った新総理である雉峰金一は考えていた。
「この情報を上手く使えば我が党は盤石、更に私の株も上がり長期政権間違い無しではないか?」
彼はまず、この情報を自由人党が隠し国民を欺き国益に反する行為を続けていたとマスコミを利用し大々的にぶち上げた。
白い宇宙人が日本人に成り済まし住んでいる!
マスコミも大きく騒ぎ立て、国民の知る所となったのだ。
当然大騒ぎになり連日テレビで白い宇宙船絡みの特別番組が放送されている。
「そうです、この宇宙人は今や我が国の国民なのです!彼女には国民の一人として国の為、同胞である国民の皆さん方の為、何らかの些細なお願いを聞いて頂きたい思うのですが、いかがでしょうか!」
米国は要請を無視した雉峰政権に遺憾の意を強く示してたが、今回の総理発言に大統領が激怒し、一気に日本との関係が悪化してゆく。
この件で雉峰総理に経済界など各所から懸念の声が上がるも、彼はまったく意に介さなかった。
政府も白い宇宙人が何処に住む誰なのかという情報は、流石に公開していない。
だが白い宇宙船が頻繁に目撃される那須野原市はマスコミに注目され、やがて過去の白雪の件を嗅ぎ付けたのか、星宮家周辺で聞き込みをするマスコミらしき姿も現れ始めていた。
しかし彼らが聞き込みをしながら星宮家近辺に近付く程に、どんどん情報から遠のいてゆく感覚に襲われる事になる。
住民達は宇宙人の正体を知っていても答えず、中には偽情報を伝える者までいる為だ。皆が白雪の存在を秘匿するかのように……
「ああ~似てますねぇお嬢ちゃん、あなたが白い宇宙人ご本人ですね?」
登校中の児童の列にマイクを向け薄汚れた記者らしき男が核心をついた。
「はい?宇宙人ですか?私が?じゃあ何であの宇宙船は飛んでるんですか?その宇宙人が運転してるのでは?」
周辺の家々のガラス窓が震え、重低音を響かせながら、まるで示し合わせたかの如く上空でインメルマンターンを披露する白い宇宙船と称される物体――
それをポカーンと見上げる記者。通学中の児童たちも同様に見上げている。
「これから学校なので失礼します。はいはいっ上ばかり見てないで足元注意!みなさん行きますよ~」
白雪の後ろに隠れるようにくっついた夕日乃と児童たちが歩き出す。
「あっあれはアンタがここから操縦でもしてるんだろ?間違いなくアンタが白い宇宙人だ!そうだろ?」
声を荒げ詰め寄る記者に気付き、登校を見守る保護者や騒ぎを聞きつけた近隣の大人達が記者を取り押さえる。
保護者達に頭を深く下げる白雪、不安そうに彼女を見詰める夕日乃。
郵便局と消防分署の火の見櫓を過ぎると小学校はすぐそこ。いつもの校門を抜け、下駄箱で上履きに替えて、私は校長室に向かう。
ノックをし室内に入ると、頭髪の話題は禁句のデリケートなお年頃の校長先生が、いつもよりほんの少しだけ不安げな表情で迎えてくれた。
そう、彼は私の正体を知っているのだ。学校生活も色々フォローしてもらっている。ありがたい事です。
「校長先生、私の事で騒ぎになってしまい申し訳ありません。児童達に悪影響を与える様でしたら……私」
「大丈夫、今はあなたも私の教え子ですよ。そういうのは先生方に任せなさい」
私の言葉を遮るように笑顔を見せる校長先生。
「ありがとう……私の方がずっと歳上なのに、えらいねぇ、芳くん」
「ああんっそれは言わないでぇーっ!」
体をくねらせる土方芳蔵(53)
念の為言っておきますと校長室では、いつもこんな感じです。
ちなみに校長の机の引き出し奥には、私(大人)のサイン入りブロマイドが隠されている。妻に知られ……いや、訳あって自宅には持ち帰れないのだそうな。
廊下に出るといつもの様に夕日乃が待っている。
残念な事に校長先生も苦手らしいです。一部が薄いですけど気の良い方ですよ?
「おはようございます」
「おはよー」
三年二組――教室に入ると子供達が不安そうに集まってきた。
みんな良い子達だわ。これが私達のクラスメイト。
「おはよう星宮さん、大丈夫だった?」
幼稚園時代から馴染みの真っ直ぐな感じの――いやきちんと名で呼びましょうか、彼女は奈良橋記理子。名の通りキリっとした女の子。
当然彼女も私の正体を、いえこのクラスの子達はみんな知っています。
「みなさん、私の事で嫌な目に遭いませんでした?ごめんね」
「しっ白雪ちゃんっごっごめんなさい!うちの弟が記者みたいな人に話しちゃったみたいなの」
プルプル震えるのは小島佐知。通称さっちー。ちょっと気弱な感じで夕日乃に雰囲気が似た女の子。キリちゃん同様に付き合いの長い子の一人。
「うん、大丈夫、大丈夫ですよ。リョウくんの事、叱っちゃだめですよ?」
「なぁ星宮、みんながお前の事を宇宙人だって言うもんだから一応信じてたけどさ、本当にあの白い宇宙人なのか?あれ……すごい大人の人だぞ?」
ちょっと頬を赤らめてそう話すのは、同学年女子に一番人気の相馬蓮くん。将来が楽しみな感じね、私は夕日乃一筋ですけど。
「はいっ宇宙人ですよ~っ体は子供バージョンを使ってるだけです」
ふわっと白い髪と藤銀の瞳になって見せると、目を丸くしどよめく男子達。
時々女子にはせがまれて披露してるので問題はない。
「まっまじで宇宙人だった!すげぇな星宮!」
「じゃっじゃあ、あの宇宙船もお前のなの?」
「はい、私のです。ちなみに名前は宇宙戦艦白雪ですよっ」
「「「オオオ~ッ」」」
宇宙戦艦で盛り上がる男子達。
ふふふ……純粋で可愛いものです――それを眺め、あ~私って真っ白いのに心真っ黒……とか思ってしまう。
ちなみに、こういう人集りができる場所での夕日乃は、いつも空気です……
兎も角、子供達にも、街の人達にも、私のせいで迷惑を与えるのだけは回避しないと。
そしてなにより、家族と夕日乃に。
例の胡散臭い記者が私の正体を突き止めたとマスコミ各社に触れ回り、乗っかったワイドショーがモザイク入りの私の姿をお茶の間に晒し、夕刻のバラエティーニュースも便乗した。
ただし報道されたものの、その真偽は定かではない。何せ私が九歳の子供の姿をしているので、あのインパクト抜群の大人姿ではないのだから皆は半信半疑な訳で。
それでも星宮家は特定され、家の周囲には三脚を立てたマスコミでいっぱいになってしまい、周囲にも大迷惑をかけてしまっている。
パパも仕事なのに外に出れずどうしたものか……
「雪ちゃん、お外出るのここ使ったら?」
そう言いながら、私の部屋の押し入れから夕日のが顔を出す。
ああ、そうだった。この押し入れは夕日乃の部屋に繋げた亜空間ゲートでした!早速パパにここから秋月家に抜けて職場に向かってもらった。しかし、パパの会社もマスコミが来てたそうで、かなり迷惑を掛けてしまいましたね。
私もここを使って通学する事にしたいのは山々なのですが、小学校もいっぱいだと校長先生から連絡をいただきました……うん本当に困った。
夕日乃も今日は怖いから学校行かない!と私に寄り添っている。本当は私の事を心配してるのでしょう。
仕方ない、大人の私で国会に乗り込んでアリバイでも作ってみましょうか。
そうすればこちらの騒ぎも収まるでしょう。
――と思った翌日。マスコミの姿はきれいに消えていた。
家の周囲も学校も全部きれいサッパリ。
それを見計らう様に黒塗りの公用車が「総理がお待ちです」と私を仰々しく迎えに来たので、成る程ここまでが仕込みか~と、それに乗り込み那須インターから東京方面へと向かった。
てっきり総理官邸か高級ホテルの一室にでも案内されるのかと思ってたが、そこは隣ビルの企業看板の方が遥かに目立つ、薄汚れた友人党本部ビルの一室だった。
一時間も待たされ、総理大臣雉峰金一と内閣府特命担当大臣ら合計七名が怪訝そうにこちらの様子を見ながら入室してきた。
総理を中心に横一列のテーブルにつき、私は椅子一つにポツンと、まるで就活の面接か何かか?という配置で座らされている。飲み物ぐらい出してよね。
「――君は本当にあの白い宇宙人なのかね?こんな子供だとは聞いておらんが?」
いきなり挨拶もなしにこのセリフ、後ろに立ってる秘書かなにかが総理にヒソヒソと何か説明している。
「で、どうなのかね?」
「つまらない事を質問するのね。もし違うって答えたら帰っていいのかしら」
「しっ失礼だな!大人に対してその態度は何かね!聞かれた事を素直に答えないか!」
「大人って、多分私、あなたより年上のはずですよ?年齢で偉さが決まるとか何処の星の人ですか?ユニオンにも居ませんよ?帝国圏の人ですか?」
「てっ帝国主義だと?失礼なっ!私は自由主義だ!!」
顔を真っ赤にする総理。
こんなに沸点低くて総理大臣なんてやっていけるのだろうか。
「まぁまぁ、我々はこの方にお願いをしたい立場ですから、星宮さん?も、もうその辺で……本題に入りましょう」
内閣府特命担当大臣が間に割り、刺々しい雰囲気を収めようとした。
「ええと星宮さん、我々日本政府は長年に渡り、日本人としてあなたの生活を影から支えていたのをご存じですか?」
「はい、存じております。新政権に壊されるまで」
刺々しい感覚の増す室内。
「こっ国家ですから、方針転換は常にあります。実はユニオンの戦艦祭の条文に、ユニオン関係者と地球の国家、企業、個人が自由に技術提携を含む交流を由とする。と言うのがあるのをご存知でしょうか?」
「はい、もちろん知ってますよ。既に一部ではその動きがあるようですね」
室内のピリピリが薄れ安堵の空気が流れる。
「もうお判りかと思いますが、我が日本の発展の為にあなたがお持ちの優れた技術を供与していただきたいのです。勿論可能な限りのお礼を致します」
「何が欲しいのでしょうか?」
その問いにゴクリと喉を鳴らす音が響く……気がする程の期待感が溢れる。
「それは具体的にどの様な技術をお望みなのでしょうか?」
「そうですね、可能でしたらハイパードライブ航法や兵器の技術を特に希望したいです。国家の発展と防衛、そして宇宙進出にあたりとても重要な技術だと確信しております。そして……」
「そっそう!我が国と隣国が技術共有し、アジアに巨大共栄圏を築くのに是非とも必要なのだよ!判るだろ?この素晴らしき未来の到来が!」
いきなり割って入って熱く語る総理大臣――他の者達は何言ってるんだコイツという顔をしている。ここだとそれがよく見える。
「申し訳ありませんが、その技術供与は無理です」
「なっななっ何でだねっ!!」
驚きの表情で叫ぶ総理。そんな返答が来るとは、想像すらしてなかった。
そんな表情だ。
「私はその技術を理解しておりませんから、無理です」
「きっ君は宇宙船を持っているではないか!何が無理だというのか!」
「私は操縦は出来ても構造原理など知らないです。あなたは自分の乗る車の構造を理解してるんですか?現物を持っているからと言ってぽんと技術を出せますか?」
「そんなものは詭弁だ!宇宙人だろ!なんとかしろ!」
「宇宙人差別です!あなた言いましたよね?今の私は日本国国民だと、なら不当に侵害される私の国民としての権利を守りなさいな!」
「ぬうう!権利を主張するなら、国民の義務を全うしてからにしろ!」
「戸籍上私は九歳の未成年です。未成年を保護する大人の義務を全うなさいな、政治家でしょ?」
「ふんぬうううう!」
あ~バカ総理が女児に遊ばれている――
冷ややかに眺める総理補佐官の伏見洋司(33)
時流に乗って政権交代で神輿に担がれた、世襲のお坊ちゃまが器もないのに総理だもんねぇ。俺がやったほうが遥かにマシじゃね?
この宇宙人の件は、下手に手を出すと火傷じゃ済まないって前総理の引き継ぎの様子と米国の怒りっぷり見りゃすぐ判るだろうに。
しかも本当にアジアに巨大共栄圏なんて作れると思ってるのかねぇ。
ユニオンだっけ?あれに加入するには、地球人類として意志を統率するんだろ?
なのにアジアで共栄圏って、無いだろそれ。
――などと考えながら、笑えるやり取りをぼけ~っと眺めていると……ん?何だ?
「君に何を言っても無理のようだ、なら仲の良いお友達に説得してもらおうかな」
ドアが開き二人の男に左右から押されフラフラと無理やり歩かされる少女――
「ゆっ夕日乃っ!」
「ゆきちゃ……」
白雪が極限にまで怯え蒼白な夕日乃に駆け寄ろうとすると男達が塞ぐ。
ヤバイ――背筋がゾワっとした。
宇宙人少女の目つきが変わった。
尋常じゃない気配が伝わってくる。
これに誰も気付かないのか?
「どうかな、友達の手前、頭を冷やしもう少し友好的に話を進めようじゃないか、お菓子でもどうかね?」
この子供と子供って絵面も酷いが、演出したの萬田か?
おっと萬田も気付いたのか真っ青だ。
おいおい、このクソ総理、様子の変貌した宇宙人にまだ気付かないのかよ。
「夕日乃を返しなさい」
その言葉と同時に、このビルが大きく揺れた。
部屋の壁から何か鋭く白い塊が突き出ると、掘削機の様に回転しながら壁を破壊してゆく。強烈な揺れと破壊音が収まった時、部屋の壁一面が綺麗に消えていた。
その様は、どこまでも続くビル街が大きな一枚の絵画にも見える。
強く吹き込んでくる冷たいビル風が、そこに風景画など無いのだと教えてくれる。
そして壁の外には、巨大な爪状の物体がこちらを威嚇する様に向いている。
それは真っ白手だった、鋭い爪を生やす怪物の手のひらの様にも見える。
白い爪の先には、壁を破壊したであろう張本人が立っている。
それは驚くほど白く美しい存在だ。
そして真っ赤だ。
確か薄紫だったはずの瞳が燃えるような真紅に染まり、じぃっと静かにこちらの様子を窺っている。
ふわっと純白の髪をなびかせ、部屋に降り立った白い宇宙人。美しさとその胸に目を奪われたが、今そんな場合ではない、殺気のようなものを彼女から感じる。
その瞳で睨みつけると、後ろに浮かぶ巨大な爪も相俟って、さすがの大男達も思い切りビビって怯んだ。
「夕日乃!こっち」
「雪ちゃぁん!」
大男の元から少女が走り出し、小さい方の宇宙人に抱き着く。
人質ってつもりは無かったとは思いたいけどさ「これは高度な政治的判断だ!」とか言い訳するのかね。
所でどういう事なんだ?白い女の方こそが白い宇宙船の宇宙人だと思ってたけど、小さい方は?見た目は白い女の子供サイズに見える、実の子とかじゃないよな?
とか思ってたら、いつの間にか小さい方も白い髪に変わってるじゃないか。
「おっおい、どういう事だ?何で二人?大きい方は判るとして、結局小さい方は何なんだ?」
おー混乱してる、でもここはテーブルに隠れてないで、さっさと飛び出してジャンピング土下座コースだろうに。こりゃ更に暴言吐きそうだな~。
「我が党本部に大穴開けよって!弁償してもらうぞ!」
この状況でそんな台詞が言えるって、この総理大物なのか?
拉致少女を連れ、巨大な爪に乗った大小二人の宇宙人が、同じ動作、同じ表情、同じ口調で我々に絶望的なセリフを告げた。
「「死んだ方が負けの戦争をしましょう」」
背筋がぞっとした。
赤い瞳を輝かせ、口元を歪め歯を覗かせ笑いながらの恐ろしい口上。巨大な爪の上でなびく純白の髪の美女は、巨大な魔物を従える女神にも死神にも見える。
俺はとっさに駆け出し、彼女にポケットの中身を差し出した。
何やってんだ俺?
「これっチョコレート!その子にあげてください!甘くて美味しいですから!」
何の躊躇いもなくそれを受け取ってくれた彼女に正直驚いた。
「ありがとう」
先程とは全く違うその柔らかな笑みに、俺は一発で虜になった。ヤバイっ惚れた!
三人を乗せた白く巨大な爪が遠ざかっていくと、その全体像が見えてきた。
白い宇宙船の腕だった。
艦底部に二椀の巨大マニュピレーターが装備されている。
すげぇ!あんなの以前は付いて無かったな、新装備か?かっけぇ~っ!
ええっ?宇宙船がこっちに……多分俺に向け手を振ってる!
思わず俺も手を振ってしまった。
飛び去ってゆく宇宙船を前に、呆然としてる総理と閣僚達。
まだ何がどうなったのか、脳の理解が追い付いていなさそうだ。
だが良かった、最初ビルごと潰されるんじゃないかと本気で覚悟したぞ。
死んだ方が負けの戦争をしましょう。
つまりこれって、一方が死ぬまでやる戦争って事だろ?
その言葉の意味にやっと気付いたバカ総理は奇声を上げ周囲に言い訳をしまくる。
そして意を決し皆の前で堂々と宣言した。
「宜しい、ならば戦争だ!相手はたった一隻。自衛隊の総力を持って撃沈するぞ!」
帰りの乗員室のベッドの上。
大小二人の白雪が左右から夕日乃に優しく寄り添っている。
「「夕日乃、ごめんね、怖かったよね」」
「うん、大丈夫。あとステレオ放送禁止」
良かった、もう大丈夫そう。手にはチョコレートが握られている。
「雪ちゃん……戦争するの?」
「うん、大丈夫。ビーム撃ったりしなから……所で夕日乃?何か酸っぱい匂いがするんですけど?」
「来る時、車でいっぱいゲロ吐いた」
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