悪魔になんかなりたくないっ!①【悪魔になるって?】

初夢なすび

第1話 始業式

 四月。始まりの月で春到来の月。


 と言ってもここは北の大地の端っこ。


 四月の第一月曜日でもまだまだ寒くてコートと手袋は手放せないし、桜もつぼみすら出ていない。


 私、翡翠明兎ひすいみんとはお気に入りのコートの上にランドセルを背負って手袋をはいて始業式が行われる学校に向かっていた。


 今日から六年生か。最高学年なんて実感わかないなぁ。


 クラス替えはないから去年と同じクラスだし。あ、でも教室は違うか。


 そういえば担任は誰になるんだろ?


 去年の担任の中島なかじま先生だったらいいなぁ。


 優しくて若い女の先生で今までの担任の中で一番話しかけやすかったし。


「……?」


 学校へ続く道へ繋がる横断歩道の前に来て信号を待っていると、向こう側にいる人が気になった。


 なんだか不思議な感じがする人。


 見た目は私と歳が同じくらいの男子。でもクラスにいる男子達とは違って、なんだかクールな感じ。


 キレイに整っている赤髪に黒のコートに黒のズボンは一緒に並んで待っている人たちの中でも目立っている。


 どこの学校に通っているんだろう?


 この近くだと私が通っている小学校しか無い。


 内地の人かな?


 でも、そっちでも学校は始まっているよね。この前ニュースで見たし。


 じゃあ誰なんだろう、と思っていると信号が変わったので横断歩道を渡った。


 近くで見れるチャンス!


 私は横断歩道を渡りながら男子に近づいた。


「……」


 良かった、気づいてない。


 でも近くで見ると本当にクールだなぁ。クラスのバカ男子達とはつるんだりしなさそう。


 横断歩道を渡り終えたのでもう一度見てみよう、と立ち止まって振り返ってみた。



「えっ・・・・・・」

 

 いない!?


 あ、人ごみにまぎれたのか。ここ渡る人多いからなぁ。


 私はしぶしぶ諦めて学校へ向かった。


 ……また会えないかな?

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