最終章 『月花美陣』 PART7
🌀.
「……あーあ、行かせちまったなぁ」
凪は溜息をつきながら千月が乗った車を見送った。
行かせるべきではなかった。だけど行かせなければ自分は一生後悔しているだろう。志遠への記憶が戻った時、彼女は再び意識を閉ざすかもしれない。
千月がいなくなるのは嫌だ。だがそれよりも千月が千月でなくなる方がもっと嫌だ。志遠が好きだった彼女も受け入れる覚悟を自分は持っている。隠し事なんてしたくない、まっすぐに彼女を見ていたい。
あいつなら大丈夫、彼女は葬儀屋の娘なのだ。死は全てが無に帰るわけじゃない、精神は受け継がれることを彼女はよく知っている。
~憑依したあいつは千月を救うために、自分の記憶を掻き消し彼女の運命を変えようとした~
その思いは汲み取るべきだけど、やはり千月は知るべきだ。
あいつの思いがどれほど大きいか。
どれだけの道のりを辿ったのかを――。
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