第2話 尿管結石はレーザーで砕くらしい

 その病院のおじいちゃん先生と主任看護師Mさんはいいコンビで通院する度に笑わせてもらう。高齢ということもあるのか、30秒前の問診の内容を忘れたりする。その度にMさんが「いえ、それは違います。」とか「それは写真が逆です。」と冷静にツッコミを入れる。ボケとツッコミの関係が確立しているがボケに関してはリアル過ぎる。

 そんなMさんも若干抜けており、私の採血をした後に貼る止血テープを針で刺したところに貼らず、その横のホクロに貼っていた。たぶんO型だ。

 3回目くらいの診察の時にたまたまMさんがいなく、前回のレントゲン写真と今回のレントゲン写真をパソコンのモニターに並べて映したいおじいちゃん先生だが、操作方法がわからなく患者である私がパソコン操作をして、この石がここからこれだけ移動したんですねとマウスで指し示すという誰が患者かわからない構図になっていたこともある。会計で事務のおねえさんに「なんか楽しい病院ですね。」と言ったら、


 *「そう言ってもらえるとありがたいです。」


 と、申し訳なさそうにお釣りを出してくれた。


 それから時は秋も深くなった。定期的にエコーやレントゲンで石が膀胱の近くまで移動しているのは確認できているがなかなか出てこない。どうも石が大きいようだ。いつも貰っている薬とは違うのはないのか、例えば石そのものを溶かすような薬とかと質問してみたところ、おじいちゃん先生は棚から薬に関する辞典のような分厚い書籍を取り出しおもむろにページをめくり始めた。しばらくして何かいい薬を見つけたのであろうか、おじいちゃん先生は大きく息を吸った。私も主任看護師Mさんも息を飲み肩が持ち上がった。そして次の瞬間、


 *「はぁぁぁ。」


 息を吐いた。ただの深呼吸だったらしい。私も主任看護師Mさんも肩を落とす。

 結局、思わせぶりな深呼吸が5,6回繰り返され、こちらもその度に肩の上下運動を繰り返した後、


 *「Mさん、市民病院に紹介状書くから予約とって」


 無かったんかい。

(後で個人的に調べたが結石を溶かすような薬はないらしい。)


 *「市民病院ならレーザーで砕けるからねぇ。そうしましょうねぇ。」



 レーザーで砕く?どうやって?





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る