砕石記 ~尿管結石とへんてこおにぎり~
桂川ててこ丸
第1話 かくして私は尿管結石になった
7月の終わり頃、会社から届いた給与明細の封筒にこんな紙が紛れていた。
『前回の健康診断で異常が見つかりました。検査するかしないかは自己判断でお願いします。』
自分とこの社員を心配する気持ちがあれば検査しなさいだろ。
とはいえ、今までそんなことをわざわざ別紙にして寄越して来たことはない。余程の”異常”が見つかったのだろうか?
『尿潜血:+3』
通常、健康な人の数値は”-”もしくは”±”で私の+3とは”+++”ということで上から2番目に悪いという指標にあたる。過去に”+"は経験したことがあるがいきなり”+3”に2階級特進とは。
しかし思い当たる節はある。2週間程前に腹痛に襲われたのだが痛みも場所もなんとなくいつもと異なり3日続いた。盲腸ではないかと疑ったりもしたが4日目の朝にぴたりと治まっていた。
(検査に行ってみるか・・・。)
まあ、こんなところで意地になっても仕方がない。
訪れたのは糖尿病や腎臓疾患を専門にしている最寄の病院。担当は御年80歳は迎えているであろう痩せ細ったおじいちゃん先生。健康診断の結果からエコーとレントゲンによる再検査からわかった診断結果は、
*「ここにねぇ、白いものが映ってるんだけどねぇ、石なんだねぇ。」
レントゲン写真には腎臓と膀胱の間に白い影が映っており、かくして私は”尿管結石”と診断された。
*「ビールをたくさん飲んで縄跳びしなさいねぇ。」
これがおじいちゃん先生の処方箋であった。もちろん飲み薬も出たが。
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