ある人物を口寄せせんと思いしを取りやめしこと

 ここ数年、疑問に思い深く悩めにけり。すなわち福島原発事故のことなり。特に2011年3月11日の昼あるいは夕刻から翌日の1号機水素爆発までの福島県や陸上自衛隊の対応なり。ネットや書籍を参考にしつつ把握しておりたるが、腑に落ちぬことなり。 卑しき身分なれば問うべき相手もおらず、気分は鬱屈せるばかり。はてさてと思いしに、黄泉の国に去りしものなら問いに答えてくれんやもと妙案を思いつきたり。思い付きし人物は生前は我からすれば、まさしく雲の上の存在なりしが、黄泉の国に入りおりには、戒名あるいは贈り名を賜るととともに地位も富も、すべて捨て去りしもののと伝え聞きたり。今はトップ、最後尾と関係にこだわる必要なしと思い定めたり。もともと口寄せ稼業は人を差別してはなりたたじ。まして黄泉の国に去りたる者なり。彼こそ自分の問いたき内容を答えるに相応しい人物なり。

 かの人物とは東日本大震災時の仙台において数万人の兵を指揮した人物なり。また後日、陸上自衛官として最高位の地位まで上り詰めた人物なりしが、若くして突然、黄泉の国に旅立てる者なり。あまりに異様な突然死と死因の公表もなきゆえ、世間では様々な憶測がなされし現状なり。

 我、かの人物の死を知るにはいたり、自ら命を絶ちしものではなきやと思いし。

 理由は福島原発事故回避の初度対応について何らかの責任追求ありせしか、あるいは自責の念なり。その後、かの人物は全国より集まりし10万あまりの自衛官を指揮し東日本大震災の後始末の任に着きしが、これも本人の名誉を回復させんがためという周囲の優しき思いがありのではと憶測せり。むろん福島原発事故回避のための初度対応の責任については彼一人の責任ではなきことを承知した上での判断なり。

 もし自死なら、自死する前に、すべてを世間に公表した後にと責める気持ちにもなりし時もありしが、黄泉の国に去りし以上、出来ぬことなり。

 後は黄泉に国に在りし者の魂魄を呼び寄せ、口寄せをする我の仕事なり。

 自死なれば無念は図り知れず、我が前に進んで姿を現すことも期待できん。

 まず聞きたきことは、2011年3月11日の福島原発全電源喪失後のことなり。戦後、長く続いた静穏の夢が吹き飛んだ瞬間なりしと思いしが、我は低き地位なれば、あの夜も倉庫で働き、様子を多く知らぬ立場なり。帰宅後、日付が変わりし、深夜にテレビのテロップ画面にて福島原発の全電源喪失を知れり。自衛隊は総力を挙げて事故回避に万全を期していると信ぜり。自衛隊が総力を挙げて事故回避に力を注いで回避出来ないのなら、やむを得ぬことなりと諦める覚悟もせり。

 しかるに翌朝に菅直人元首相が単独でヘリにて現場に直行する姿をテレビが放映し、さらに場違いの自衛隊の消防車が現場にありし映像に愕然とせり。時は刻々と過ぎぬ。そして、その日の午後には1号機が水素爆発を起きたり。夢でも幻でもあらず。信じられぬ現実なり。

 その後、我は当時の状況を把握せんがためにネットと図書館、報道番組を頼りぬが、未だ不審な点は多く、当時の政府や防衛省自衛隊、現地部隊の行動を把握せんとするが、まったく把握です。理解できぬことばかりなり。

 それのみにあらず、書籍に記載された当時の自衛隊の行動に疑問さえ抱けり。もし実際に行いし行動なれば、戦後の国民的な軍隊批判の嵐の中で形成された習性とも言うべき大々的に映像を通じてマスコミに広報せんが不思議なことなり。一冊の本に書かれたことは虚構にあらざるやと不信を抱きぬ。結局、何もせずに福島原発1号機爆破を許したにあらざるや。それを歴史的な真実として固定せんがために一冊の書籍に数行を書き止めたにあらずや。まさにそれなら謀略なり。

 菅直人元首相は3月11日夕刻には防衛省自衛隊に対する行動命令を発せしことも後日、知りしことなりが、その後も東電社長中の航空自衛隊機が浜松上空で引き返すなどの混乱は如何にして生じたのかなど官房長官を通じての釈明など、国民を馬鹿にした釈明にあらざるや。また自衛隊について報道する機関誌は2011年1月に8000名規模で女川原発にて原発事故災害対応の訓練を行ったという報道もありしが、かえっておかしなことなり。何故に、それほどの大規模な訓練を行いしに、3月11日当日に事故回避のために行動せし気配なきや。もともと訓練なるものは現実に役立たないことを行っているに過ぎずことを内外に告知したようなものにも思えり。これは外国に派遣をされる隊員の一例を見ても気付くえきことなり。所属する部隊を離れ、約1年ちかい長期の訓練を行うなど普段の訓練は無意味な徒労を繰りかえしていることと同様なことなり。

 日頃の訓練は徒労なりしことを自ら認めたも同然にあらざるや。

 さらに2011年3月11日の午後8時前には政府は原発事故回避のための命令を発したことは先述したとおりなり。思うに方面総監である貴殿に対する発したはずと想像する。その後、貴殿は如何に対応したか。あるいは貴殿の隷下部隊である6師団はいかなる対応をせりか。さらに福島の連隊はいかなる対応をせりか。さらに阪神大震災よりこの方、警備隊区という地域に震度5強以上の地震が起しおりは、現地部隊は自ら、偵察部隊や調整要員を関係省庁に派遣して良きように通達されしはす。2011年3月11日夕刻まで現地部隊は福島県庁などから情報を得ざりしか。

 福島原発事故以降に海洋進出を強める中国人民解放軍の動きに我はここ数年、防衛大学校入校時から感じしことを基本に発言を繰り返しぬ。

 陸上自衛隊の解体的な組織改編もその一つなり。このことは田中義一元首相を口寄せしたおりにも触れたことなり。政治家の果たす役割と思えりが、現代の時代に陸上自衛隊のトップまで上り詰めた人物に聞くのが一番、適切なりと思いつきたり。  まず中国人民解放軍の日本侵略の様相を如何に想定しおりか。我が思うに国旗も掲揚せぬ漁船や民間船で押し寄せ、軍服など着用せぬ人民解放軍なる者が人の少なき場所に上陸するにあらずや。あたかも日本人を拉致せんがために日本の海岸線に上陸せし北朝鮮人のごときである。軍服など着用せぬは戦前の南京攻防戦のおりからの彼らの常套手段であり、迷うことはなかりし。上陸した人民解放軍は日本人の拉致などにあらず、武装し、明らかな目的を持てり。黄色人種なるが故に見分けも付けがたし。すでに日本国内に潜伏を終え、指示を待てるやも知れず。次にミサイル攻撃なり。航空攻撃なり。潜伏せし者は都市部、要地を出現し、都市部や原発や軍事施設に盛んな攻撃を加えるにあらざるや。

 テロ組織も同じ戦略を採用せんことも予想できることなり。

 日本は如何になるや。陸上自衛隊は如何に対応するか計画あるや。師団や連隊などという組織は役に立つ見込みがありしか。また如何なる場面にて役に立つや。離島のみならず、本土でも同じなり。我は役に立たずと断じ、むしろ貴下の指揮にありし14万人とも15万人とも思われる陸上自衛官のトップに立つ方でありにしが、その指揮を解き、常日頃から警察の一員として最前線に従事せしむることこそ、最良の施策にてあらじかと、自己の主張を突き付け、回答を得んと欲す。そればかりであらず。ベトナム戦争以降、日本が用心すべき相手はソビエトより、反日教育と人口爆発を許しし、中国にあらざるや。現実に南シナ海への海洋進出は人口爆発による食糧資源やエネルギ資源の確保のためにも思えたり。ソビエトを対抗部隊として備えしは共産主義という浅はかな思想に備えるためなり。ソビエトは領土広く、食糧資源や燃料資源などには、さして不自由せぬように見えり。しかるに中国は生存のために現実的な問題なり。生存のために必死なりき。どちらが恐ろしき相手か明白なり。

 日本は普通の国、あるいは職務遂行より自己の生命を優先する普通以下の臆病な民族に住みし普通以下の国になりし。福島原発事故で静穏の時代は終わりぬ。現代に至っても、誰も気付かぬことなりか。特に、かの国の人々も密かに戦前や戦中の日本人の死を恐れぬ勇猛さに恐れや、内心、畏敬する意識を持てりが、福島原発事故を境に日本人も普通の民族と気付きしたりしにあらずや。

 とりあえず2020年東京オリンピック成功のために陸上自衛隊に解体的な組織改編を行い、航空自衛隊、海上自衛隊、海上保安庁、警察の増強すること。陸上自衛官の現場配置を急ぐこと。そして国家の危機管理と安全保障体制の再構築を急ぐ必要ありと訴え続けている故なり。もちろんこれは将来に備えるためなり。過去の原発事故の責任追及は別に行われねばならなきことなり。

 日々、世界で繰り替えされるテロの現状を知るに時間に余裕はなし。

 2020年東京オリンピックまでに国家間の紛争のみではなくテロさえ防げぬやも知れぬが、まったく改善される気配なし。

 かくのごとき発言を繰り返す我に何らか圧力が加えられていないか不安を感ずることも無きにしあらず。カヌーという小舟に社会運動を活発化しようと言う団体に一時、加わりしことありしが、かくのごとき発言やオリンピックに関係する啓発行為など行わぬと除名運動起こりし。家族に対する脅迫行為が行われているのではと案じつつ、住居を定めぬ旅を続けている始末なり。今回は脅迫などという明確な証拠はなし。ただし過去に一度、熊本に移動ししおりに体験しおり。妻も怯える脅迫じみた電話にて受けしことあり。すぐに警察に通報しぬが、何か起きたら電話を言う回答なり。日本の警察の情報収集能力を確信せりが、各国で起きるテロー事件を報道で知るにつけ、いかなる些細なデーターも蓄積し備える必要ありと感じるところなり。

 すでに我が知らぬところで思わぬ動きがあることに期待をするのみである。

 島崎藤村に縁のある場所に至りぬ。啓示に似た閃きを得たり。彼の作品の「夜明け前」という作品に主人公の先生は日本を去る決意を固め、多くの教え子の前に自らが部落出身分者であることを告白する。我も多くのことを告白せしが、必要なら恥ずかしきことも、さらに多くの告白せんと覚悟を決めしなり。  

 かくなる覚悟を決め、我はある人物の魂魄を口寄せし、疑問を投げかけんと決するなり。



       2016年 某月某日 佐久市にて

 口寄せせんがための準備を急ぎぬ。要は何を聞き、知りたいかという整理なり。  そしてかの人物の言葉を得て、それを元に日本の回転を望むことなり。  2016年 某月某日の翌日  夢に現れし。

 まず、我が口寄せ行業の正当性を読者諸君に理解を求めんがあめに、夢と口寄せは根本的に異なることを明記せん。  口寄せは黄泉の国より死者の魂魄を呼び寄せ、その者本人の声を聞くことなり。  夢は私本人の願望や思いの影響を多く受けたりしことであり、黄泉の国に去りし者の魂魄の声にあらず。また夢はまどろみや睡眠中の出来事なりしが、口寄せは目覚めし時の出来事なり。  夢に見しことは口寄せをするは相応しくなきことを示す判断基準なり。口寄せとは死者の声を正直に聞き取ることが目的なり。それ故、古代より口寄せをする者が夢に見し時は、口寄せをしてはならぬと掟あり。

 しばし現世の政治家や有権者、マスコミの努力に任せんと思いたり。

 さらに吾は、もし吾が思いしとおり自ら命を絶てしなら、言葉を残さず命を絶てしことを叱責するを恐るるものなり。


          2016年 本日、某所にて

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