僕の夢


僕には夢がある

きっと叶わない

でも、諦めたくもない


僕には夢がある

それを口にすれば、みんな困った顔をする

僕も、自分で言っておきながら泣きたくなる


僕には夢がある

遠すぎて、太陽に手を伸ばしてるみたいな気分になる

でも、いつかはなんて事も思ってる


僕には夢がある

誰も反対しないけど

無理を言ってる自覚はある


僕には夢がある

「いつか、普通になりたいんだ」


自分の足で歩き回ってみたい

―そんな事すれば、きっと倒れてしまう


自分の行きたい場所に行ってみたい

―そんな事すれば、誰も居ない場所で野垂れ死んでしまう


自分の手で色んなものを触れてみたい

―そんな事すれば、体に毒が回ってしまう


自分の目でその色を見ていたい

―そんな事すれば、すぐに目を回して頭を痛めてしまう


自分の口でお話して味わいたい

―そんな事すれば、すぐにむせてしまう


僕には夢がある

いつかでいい、いつかでいいから

この四角い世界を飛び出して

テレビに映る丸い世界を生きてみたい


僕には夢がある

報われないのは分かってる

だってもう、僕の中の時計は止まりかけているから


僕には夢がある

でも叶わないんだ

この世界の空は、小さくなり過ぎちゃったんだ

だから、もう僕は、僕達は生きられない


僕には夢がある

今目の前で泣いている

君の笑顔を見る事

―でも、もう無理だね。


僕には夢があった

もう二度と叶わないけれど

でも、どうか僕の事は覚えておいて

―ねぇ、『僕』


結局僕は、君の手には触れられなかった


「おやすみ、叶わなかった僕の『願い』」



僕の隣には、いつも『夢』がいた


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