散文詩肆・責められるべき人
ある朝、弟がこう言った。
「ねぇ、悪い事した人は責めていいの?」
何を言っているんだと思った。
「当たり前だろ」
僕はそう言った。
「じゃあ、あれはどうするの?」
弟が指さしたテレビのニュース。
悪質なイジメのお話。
いじめられていた子を突き落としたいじめっ子が死んだ。
いじめられていた子が、突き落とされた瞬間、いじめっ子を道ズレにしたのだ。
いじめられていた子は、生き残って、
いじめっ子は、死んだ。
いじめられていた子は被害者から、殺人犯になって、
いじめっ子の親に、同級生に、全てに、
「何故、お前が生き残った」
と責められている。
「人殺しが、何故生き残った」
と。
いじめっ子は加害者から、殺された被害者になって、
親から、友人から、全てから、
「何故、死んでしまったの」
と涙を零して貰っている。
「可哀想に、何故死ななければならなかったの」
と。
「ねぇ、誰が悪くて、誰が悪くないの?」
「ねぇ、何が正しくて、何が正しくないの?」
本当に、いじめられていた子は、責められるべきなのか?
誰も、いじめっ子がしてきた事は、責めずに終わらせる気なの?
「お兄ちゃん、僕より年上でしょ?なら、教えてよ」
―誰が責められるべきなの?
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