今どきの派遣社員は異世界に行くのもお仕事のようです。

@hityan777

第1話 初の異世界デビュー!!

「ハイ・・・って、エッ!?俺が異世界に!?しかもソコのラウンダーですか!?」


会社から「夢にまで見ていたラウンダーのお仕事、できるみたいだから、詳細は事務所で話すね☆」と所長から電話を受けた洋介は興奮しながら事務所へ向かうと、言われた辞令は、なんとも凄惨なものであった。


時は2087年。


「20世紀後半といっても、技術の進歩はそこまでないんだろう?」

と読者の皆様の中には思われている方も多いだろう。

ところが、2050年に人類は大きな発見をすることになる。

それは、素粒子研究時に発見された新粒子によって「異世界」への移動ができるようになったのである。


ただ、「異世界」と言っても新粒子で繋がった場所の正確な位置が把握できず、国際連合が「詳細が判明しないうちは異世界、と呼称することにする」と決定したことにより、解析が進んでいない現在もつながる先は「異世界」と呼称されているのであった。 


そんな「異世界」も、新粒子を展開したフィールドを展開することによって安全に移動できることが判明してから、様々な旅客事業が参入。人類にとって様々な経済の発展を促すこととなった。


そして時は現在に至るわけだが、ようやく異世界との通信技術を確保できたことから通信事業の「異世界」への参入が決定し、担当を誰に割り振るかを会社が協議した結果、洋介が選ばれたのであった。


「イヤイヤ、崎山さん・・・僕は金持ちではないんで異世界に修学旅行以外遊びに行ったことがないっすよ。どうしたらいいんすか・・・」


「大丈夫。お前なら何でもできるって信じてるから!まあ、向こうでならお前がやらかしてもそんな騒ぎにはならんやろうしな」


「はあ・・・出張は俺としては楽しめるから最高なんですが、旅費とかどーするんです?会社もアップアップでしょうに」


「は?」


「え?」


「引っ越しにかかる費用は会社が負担するから。それにお前は会社に借りを作りすぎた。だから少しは返してもいいんじゃないか・・・?」


「え」


「だから、頑張ってきて、借りを返してもいいんやで?」(ニッコリ)


この時点で洋介はやっと異世界ラウンダーの話がどうして自分に降りてきたかを察する羽目になった。


当の本人は今日まで別キャリア、別店舗で連日続く残業で疲労困憊だったので、

「やっと俺も楽できる側に回るんだ・・・」

と安堵して会社に向かった時の安堵感は尋常ではなかった。


だが、会社で出向辞令を受けた時、洋介は極限の絶望を味わうことになる。

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