プール

「あーちゅいー」

太陽が暑いといいながら扇風機を独占していた。自分の部屋だと暑くやる気がなくなってしまうため、リビングに来ているのだが…

「先輩、暑いです」

先輩が暑いのに後ろから抱きついていた。先輩いわく匂いを楽しんでいるらしい。変態だ。

「ねぇちゃーん、プール行こー」

「うーん、パス、締切近いし水着ないし」

むすくれる直人を横目に後ろに抱きついている先輩の手の力が強くなって行くのを感じる。

「先輩ー苦しいよー」

「愛華ープール、俺も行きたい! 」

「ま、マジすか…」


結局、太陽と直人、先輩に負け水着を買ってからプールに行くことになった。締切が近いがたまにはいいかもしれない、母がまた、新しい仕事を始め夜までいないことが多くなっている。別に小説の売上はいいし問題ないのだが私ばかりに頼ってたらダメだからということらしい気にしなくていいのにと思うが…。

「まーなーかー!」

「ッツ!!??」

「柔けー」

「この……変態!」

後ろから先輩が胸を揉んできたため背負い投げでプールに投げた。

「姉ちゃんカッコいいね!相変わらず男前!」

「あたりまえ!って……太陽は?…」

太陽が近くにいないのに気が付き周りを見渡すと小さな子達が集まっているのに気がついた。近づくと聞き覚えのある泣き声が聞こえた。真ん中で泣いている太陽がいた。

「なにして!…」

「愛華、俺が行くよ」

先輩が私がいったら大変なことになると言い小さな子達の方に行った。



数分すると太陽を連れて先輩がこっちに戻ってきた。

「太陽、大丈夫?」

「うん…勝手に離れてごめんなさい…」

「わかってるならよろしい!」

太陽を撫でながらさっきの子達を見ると震えていた。先輩に直人と太陽をお願いしてその子達の方へ向かい、どうしたのか聞くとさっきの人、先輩が次、太陽に手をだしたら容赦無く潰すといわれたらしい。まぁ、太陽や直人のことを弟のように思ってくれているのだろう。あたりまえだ。

「私、太陽の姉なんだけど…太陽泣かされるのは困るから…やめてねぇ?」

あれ…優しく言ったつもりだったのに…逃げられてしまった。まぁ、いいか。

「よし!!遊ぼ!」


「姉ちゃんーお腹空いたー」

「ん?…あー、そろそろお昼か…」

あっという間に2時間が経ち、太陽がお腹が空いたと言い出し、プール内に設置されている食堂に向かうことにした。

「何食べる?」

「ラーメン!」

「カレー!」

「愛華!」

ん?最後おかしいの聞こえたけど気にしたら負けだな。太陽にはラーメンの券を買い直人にはカレーの券、先輩には担担麺の券を渡し自分がなに食べるか悩んでいた。結局、太陽と同じラーメンにすることにした。


お昼も食べ終わり、また、プールで遊んでいた。

「愛華ー競走しようぜ!」

「いいですよ!!」

先輩が競走しようと持ちかけてきた。

「じゃぁ、よーい、スタート!」

私はクロール、先輩はバタフライだった。先輩はそこまで運動ができないのは知っている。この勝負余裕だ。



「ん……ぷはっ!!勝った!」

先輩がまだ泳いでるのが見えた。先輩がまだゴールしてないのに立っていた。

「どうしたんですか?」

「ま、愛華……み、水着…」

え?

水着?

胸元を見ると、あったはずの物がなく、あったはずの物は先輩の手元にあった。



「姉ちゃん…大丈夫?」

「大丈夫…」


私はもう、プールには行かないと決めた。

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