目撃

「なぁ、彼女が好きって言ってくれないのって理由あんのかな」

「は?」

昼食を食べてるとふと綾田にそんな事を聞いてしまった。

「え、光永、まず、彼女できたのかよ!!」

「話してなかったか」

「てか、誰なんだよ!! 」

「一年だよ、」

年下かー、とニヤケながらこちらを向く綾田がとりあえずイラついたから殴り昼食を食べる。

「そう言えばよ、作家の一年、いじめが理由で転校するってよ」

結局、愛華以外の作家はいなかったし、この前、愛華が作家ということを明かしたばかりだが最近はSNSで共有することが多くすぐに広まる。俺は嫌な予感がし愛華の教室に走る。愛華が学校に行く時必ず俺に教室に来ないでと言われる。なんでかわからなかった。今ならわかるいじめられてるとこを見られたくないからだ。

「愛華……?」

愛華の教室に着くと頭から血を流す愛華がいた。床に倒れておいてある椅子には血がついていた。おそらく椅子で殴られたのだろう。俺は携帯を取り出し電話をする。

「先輩?なにして…」

愛華が気が付きこちらを向いている。

「うん、お願いします。」

携帯をしまい愛華の元へ歩く。

「大丈夫か?」

「はい…」

見られてしまったというような顔をしている。

「お前ら…愛華を傷つけたこと後悔させてやるよ…牢屋の中でな」

「牢屋!!!???」


さっき電話していた相手は父親だった。父親は警察官ですぐに来てくれるとのことだった。

クラス内は私じゃないと言うような声が上がっていた。

「全員だろうが!」

愛華が始めて始めて声を荒らげて怒鳴った。愛華はきっと手を出すのを我慢したのだろう。拳が震えていた。父親に無料連絡アプリで被害者は怪我しているから保健室にいると伝えクラス内の方は担任に任せた。


「なんで…来たんですか…」

保健室で手当をし家に帰っていると愛華が下を向いて聞いてきた。

来て欲しくなかった。あんな所見られたくなかった。情けない。などと思っているんだろう。

情けないのは俺だ助けてという愛華のSOSを気がついてやれなかった。彼氏として情けない。

「気がついてやれなくてごめんな…」

愛華の頭を撫でる。

「ッツ…う…ぅ……」

「今度からはちゃんと言ってくれ、ちゃと助けてやる。でも、愛華の方が喧嘩だと強いけどな。」

「当たり前でしょ!負けないもん!」

にかっと笑う愛華。


安達家に着くと愛華に俺の手料理が食べたいということで作ってあげた。もちろん俺は料理はできないため黒い物質、ダークマターが出来上がった。不味いーといいながらも愛華は食べてくれた。


俺は愛華にいろんな意味で勝てないと悟った。

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