新作

近藤さんから新作を頼まれた。飲み会で会った人達のほとんどが他の新作はいつだと聞かれたらしい。確かにもうすぐでケダモノ鎖は完結だが原稿は急いでいないため、書くことになった。どんな小説にするかは自由らしくずっとここ一週間机に向かっていなかった。

「先生ーなんか思い浮かびましたかー?」

いい加減机の前にいけやと言いたいように先輩が怖い顔していた。

「浮かんでません…」

まず、ジャンル決めてないしどうしよ…。

恋愛、ラブコメ、ファンタジー、現代ファンタジー、異世界ファンタジー、SF、ドラマ、ミステリー…

ジャンルすら決まらない現実を目の前に私は絶望していた。そんな時たまたま読んだ実話を元にした話を思い出した。

「先輩…実話を元にした話ってどうだと思いますか?」

漫画を読んでいる先輩に向き直ると先輩は漫画を置いて輝いた目をしてこちらを向いた。

「い、いいじゃないですか!実話を元にした話なら恋愛が一番です!でも、先生って恋愛したことあるんですか?…」

痛いとこを疲れてしまった。確かに恋愛はしたことはないが、最近、先輩が他の女の人に話しかけられてるとすごくイライラしてしまう。これは……

「所有欲?…」

「え?」

しまった声に出てしまった。

先輩に抱いている感情が私には分からないままだった。

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