濁流

その時までは僕は豆腐かこんにゃくのように何を言われても聞き流して、犯人はサキュバス、という言葉が気になって小説?映画?などとしつこく聞いていたのだが

耳の一件からは何が何でも僕が不愉快な言葉を言う、という事を自覚させるという流れに変わっていってしまったようだ。


滝のような濁流に感じられた。


それが過ぎた後、ぼくはすっかり口を開くのが怖くなり、人が沢山いる場所に行くと冷や汗をかき、挙動不審になるようになった。


そんな自分を変えたくて、雑誌を買った。

美容院に行き、服を買った。

僕の暗黒な高校時代。



こんな小さくて醜い僕にも自尊心を持つ資格はあるなんてそんなことは考えてなくて。ただよちよち歩きの子供のように、ただ一人でいるのが辛かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る