第3話:下の親知らずを抜いて

最近下の親知らずを抜いた。静脈麻酔で抜いたから怖くなかった。

そのあとの一週間、私は地獄を見た。食べられるものがなく、顎は痛く、痛み止めも喘息があるため弱いものしか飲めず。

来る日も来る日もレトルトお粥、スープに食パンひたす、ゼリー、、、、シュークリーム、、、刺激の強いしょっぱいものやソースは厳禁、、

歯ごたえのないものを食べることが、どんなに虚しいかを思い知った。いくらカロリーを取っても満腹感がない。

もう食べられる、と気を急かして唐揚げなど食べたら早計に。

余計痛みが増して激痛。悲しみとともにお粥から再出発である。

数日経って片方の歯だけで噛めるようになったのだが、食べた気がしない。体の一部分だけで食事しているようで、どうにも満足できない。両方の歯で思い切り噛みたいという切実な要求、でもまだ傷口は塞がっていない。

こんな毎日、続いたら地獄だ。

歯医者のそばがドミノピザで、回復したらピザを買って食べる!というモチベーションを燃やして耐えた。

回復して今は好きなものをガンガン食べている。顎にゆとりができて肩こりはしにくくなったようだ。食感や味覚を重視する人間の食べ物の味わい方って非常に贅沢なんだなと思う。

もう一本親知らずが残っていて抜く予定なので、この思いをまた味わうんだな。。


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