第3話月見神社

 月見神社の手前の公園に着くと、男子が二人、アイスを食べながらしゃべっていた。


 公園まで来れば月が見えるかもと思ったが、どうやら月は今、神社の向こう側にあるようだった。公園の時計を見ると、6時45分を過ぎたところを示している。手紙で指定された時間には、まだ15分ある。


 私は少し考えて、今のうちに池と月の様子を見て帰ろうと思った。さすがに、あの怪しげな手紙の送り主に会ってみようという気は起きない。


 神社の方に向かっていると、背後で男子達の「そろそろじゃねえ?」、「お、マジだ。」というやり取りが聞こえた。二人の足音が近付いて来る。まさか、この二人があの手紙を?と思ったが、そうなら私が公園に入った時点で、何かリアクションがあるはずである。


 一応立ち止まり、神社を見てるフリをして彼らをやり過ごすことにした。


 すると、彼らは神社の脇道…池へ向かう道へ進路を取った。良く見ると、二人とも見覚えのある、私と同じ封筒を持っている。


「待って!」


 思わず声をかけたものの、どう話を繋げば良いか困ってしまった。


「…。」


 二人は怪訝けげんな顔でこちらを見ている。一瞬迷って、ポケットから同じ封筒を出して見せた。


「君も!?」


「オレらと一緒じゃん!」


「分かって貰えて良かった。どう説明しようかと思ったの。」


 少し日焼けしてる方の男子が、自分の手紙を読み上げる。


「瀬戸隼太さま、…しょうたいじょう…。」


 すると、もう一人の男子も読み上げる。


「高村慎士さま、…以下同文。」


 ここは続いた方が良いだろうな、と思ったので真似してみた。


「石田莉奈さま、以下同文。」


「で、?」


 慎士が問いかける。


「どうする?招待受ける?」


「どうって、怪しすぎるから、ちょっと覗くだけのつもりなんだけど…。」


「それが良いかも。」


 隼太はうなづきながら、手紙を元通り畳み、ポケットにしまった。取り合えず私もしまおうとすると、慎士が言った。


「そだな。じゃ俺らと一緒に行ってどこかに隠れてなよ。相手がどんな奴か分からないし。」


「ありがとう。いつもだったらこんな怪しい事、相手にしないんだけど月が見たくなっちゃって。」



 そのとき3人の声が重なった。


「「「スーパームーン!!!」」」



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