28:デリケートゾーンの危機

 「お兄ちゃん、ちょっと相談したいことがあるんだけど、いいかな……?」

 「……あのさ、お前、いつも俺になんか相談してない?」

 

 そっと俺の部屋をドアを開け、控えめにこちらをうかがうユウ。

 

 それに対して、俺はちょっと困惑を隠しきれなかった。

 

 もう、あれだけめちゃくちゃに胸を揉みしだかれ、弄ばれ、オモチャにされたのに。

 まだ好きこのんで俺の部屋にのこのこやってくるとは……。俺の弟は、とんだチョロインちゃんらしい。

 

 「ご、ゴメン……。やっぱり、何回も来たらうるさいよね……❤」

 「い、いや、そんなことはないけど」

 

 俺は、あわてて首を振る。

 

 「いや、でも、友達とかいないのかな~って、ちょっと心配になるっつうか?」

 「あ……」

 

 ユウは、黙って下を向いた。

 

 ……やべ、地雷踏んだかな?

 

 「と、友達はいるんだけどね……。ボクが何か話したら、いつの間にかみんなに広まっちゃうし……」

 「あ、なるほど」

 

 俺は納得して手を打った。

 

 いつかも見たけど、ユウはあれだけ取り巻きだかハーレムだかがいる。

 

 そのくらい人気者ということだ。

 

 ユウが「秘密にしておきたいこと」だなんて、彼ら(彼女ら)にしてみたら、ものすごいニュースバリューだろう。相談なんてしてしまえば、秘密どころか、学年中、学校中に広まりかねない。

 

 「つ、つまり、ユウが信頼できる相談相手は、俺だけ……ってことか……!?」

 「う、うん……そうかも❤」

 

 ユウは上目遣いでそう言った。うーん、なんか感動……! あ~超気分いいわ。


 「じゃ、まぁ座れよ」

 「うん……❤」

 「今度は何の相談だ?」

 「じ、実は……っ……!」

  

 ユウは、股に手を挟み込んでもじもじした。が、やがて……

 

 「で、デザート、のことなんだけど……っ!」

 「えっ?!」

 

 「デザート」と言えば、男性特有のアレである。

  

 そんなデリケートな部位の相談か……。

 

 やばい! わくわくしてきた!

 

 「なんか……デザートに、ぶつぶつができちゃってて」

 「ぶ、ぶつぶつ!?」

 

 ユウは、恥ずかしそうにゆっくりうなずいた。

 

 「できものができたってことか?」

 「うん、そうなんだ……❤ そんなに大きくはないんだけど」

 「へ、へぇ……」

 

 そんなデリケートな場所に、できものができたらイヤだよな。

 

 現に、ユウはじっと黙り込んでいる。

 

 「そりゃ、確かに友達には言えないよな。広まっちゃったらヤバいし……」

 「う、うんっ……❤」

 「まぁお兄ちゃんに任せとけよ」

 「あ、ありがと……❤」

 「じゃ、デザート見せてくれ」

 「えっ、いきなり!?」

 

 俺は、ユウのズボンとパンツを下ろした。

 

 小柄な体格のわりに、異様に巨大なユウのデザートがあらわになる。う~ん……俺の1.5倍くらいはあるなぁ。かなしい……。

 

 そんなところを露出したのが恥ずかしいのか、ユウはぷるぷる震えている。

 

 が、観念したのか、自分からデザートを握った。

 

 「あのね、ここなんだけど……❤」

 

 そして、デザートの一部分である、ストロベリーの皮を剥いてみせる。

 

 「こ、これは……っ?! なんつぅでっかいストロベリーなんだ!」

 「そうじゃなくってぇ……っ❤」

 

 恥ずかしい所を見られているからか、ユウはたじたじになった。

 

 「……ん? でもさ、ぶつぶつなんてないぞ。どこ?」

 「ほら、ここだよ、ここ♡」

 「え? ……あ~、これのこと?!」

 

 確かに、よおく見ると、ストロベリーにゴマ粒大のつぶつぶが出来ている。「ストロベリーはもともと粒粒だろ!」とか、そういうツッコミはこの際、置いておいて欲しい。

 

 「ほら、何かできてるでしょ? ボク、もうどうしたらいいかわからなくて……病気なんじゃないかって、ちょっと怖くて」

 

 ユウは、涙声で言った。そうとう不安らしい。

 

 「お、落ち着け。泣かなくてもいいだろ?」

 「でもぉ……!」

  

 ユウの頭をなでつつ、俺は頭をひねった。


 そんなに大きいぶつぶつってわけじゃないけど……。出来る場所が場所だけに、心配な気持ちも分からなくもない。

 

 「なぁユウ……お前、もしかしてヤリまくりで、そのせいで病気になったとかじゃないよな?」

 

 するとユウは、ビックリして飛び跳ねた。

 十センチくらい尻が浮く。デザートも、思いっきり跳ねた。

 

 「ちっ……ちがうよぉっ❤ ボク、そんなこと一回もしたことないしっ……❤」

 

 と、ますます恥ずかしそうに縮こまる。デザートも、心なしか萎れる。

 

 ほほう、ユウは童貞だったか。

 

 やべ、ニヤニヤが抑えられない。


 「ふーん。そういうことしてないのにぶつぶつが出来ちゃったのか……。じゃ、病院でも行ったらいいんじゃね?」

 「びょ、病院は……ちょっと怖いしっ♡」

 「そうか……」

 

 その時、俺の脳に電流が走った。

 

 ものすごい名案が思いついたのである。

 

 「……じゃ、さ。とりあえず、俺が出来る範囲で調べてみるよ」

 「あ、ありがとう……お兄ちゃんっ❤」

 「うん。で、調べたいからさぁ――」

 

 俺はその時、たぶん凄いいやらしい笑みを浮かべていたことだろう……。

 

 「――資料用に、デザートの写真とらせてくんない?」

 「……え?」

 「だから、ここの写真だよ」

 

 ぴんっ♪ と、ユウのデザートを指先で弾いて、俺は悪い笑みを浮かべた。

 

 「ええええええぇぇぇぇぇぇぇっ……!?❤」

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