27:胸がおっきくなっちゃった!?

 「あぁぁぁっ……❤ ふァんっ、あんあんァっ……ンくっ、ンぁぁっ❤」

 

 と、ユウは俺の腕の中で嬌声をあげていた。

 

 場所は俺の部屋である。だけど、さっきから親に聞こえやしないかとヒヤヒヤものだ。

  

 「こらこら。ユウ、そんなに大声出したらだめだぞ?」

 「ご、ごめんなさい♡ でも……ンはッ、あああぁっ……❤」

 

 ぎゅぅぅぅっ……!

 

 ユウの胸を強く搾ると、また甲高い声を出してしまう。

 

 「なんだ? まったく、こらえ性がない弟だなぁ……」

 

 真面目ぶった口調だけど、俺はニヤニヤするのを抑えられなかった。

 

 「ダメっ、そんなに強く揉んだらいやだよぉっ! はぁぁぁぁっ、お兄ちゃぁんっ……❤」

 

 なぜ、こんな一見ハレンチな事態になってしまっているかというと。

 

 

 ――今日、ユウが自分から俺の部屋にやってきた。

 

 「入るね、お兄ちゃん……❤」

 

 ドアから覗かせた顔が、なぜかもう赤くなっている。

 

 ふふっ。獲物が自分から蜘蛛の巣に入ってきやがったか……。

 

 隙があったら何かえっちなことしてやろう! と考えつつ、

 

 「どうした? また腋毛でも剃られに来たのか? はははっ」

 

 ところが、冗談を言ったのに、ユウの顔は晴れなかった。

 

 「違うんだ。あのね、ボク……なんだか、なんだか……む、胸が大きくなってる、気が……するんだけど……❤」

 

 と、恥ずかしそうにパジャマの胸を押さえる。

 

 「……え、えええええっ!?」

 

 どういうことなの……?

 

 ユウって、男……だよね!?

 理解が追いつかない。


 「お、おいおい。ユウまで冗談言ってるのか? 」 

 「ち、違う……っ❤ ちょっと、見てもらっていいかな、お兄ちゃん……❤」 

 

 もちろん、見ることに異論はない。うなずくと、ユウはパジャマを脱ぎ、下着をぺろっとめくった。

 

 すると、ユウの真っ白い胸があらわになる。

 

 「っ?!」

 「ど、どう? やっぱり、ちょっと大きくなってるでしょ? お兄ちゃん……❤」

 「お前の胸……やっぱり、めちゃくちゃ綺麗だな!」

 

 俺は、鼻息を荒くして、その鼻先をユウの胸に近づけた。近くで見ると、彫刻並みに滑らかだ……すごいなぁ。

 

 「お、お兄ちゃんっ……❤ ボク、真面目に悩んでるんだけど……っ❤」

 「あ、わりぃわりぃ!」

 

 今度は真面目に観察する。

 

 これは……。

 

 確かに、ほんの少しだけど、以前より膨らんでいる気がしなくもない。あくまで、男性の胸部として、不自然ではない範囲だけれど。

 

 「うーん、確かに、ちょびっとだけおっきくなったかもな……? でも、誤差のような気も――」

 「そ、そうでしょ!? お、お兄ちゃん、どうしよう……! こんなの、ヤダよ……❤」

 

 ユウくらい可愛ければ、胸がちょっとくらい大きくなってもいいんじゃないか?


 ――とも思うけど。けど、ユウはまだ中学生だ。思春期真っ盛りだし、体のことを過剰に気にしても不思議じゃない。

 

 胸がちょびっと大きくなった原因……なんだろうなぁ?

 

 「……っ!」

 

 お、思いついてしまった。

 

 まさか、まさか……。毎晩毎晩、ユウを昏睡させて、胸を弄んでいた俺の責任なのでは?

 

 だって、胸は揉むと大きくなる、ってよく言うし……。

 

 や、やばくね? 俺、ユウの体を改造してしまったのか。いくら「オモチャ」とはいえ、やりすぎじゃないか?

 

 「どうしたの? お兄ちゃん、そんなに汗かいて……」

 「いや、なんでもない……なんでもないんだ……!」

 「そ、そう?」

 

 ユウのつぶらな瞳が、俺の良心をグサグサ突き刺してくる。

 

 「うぅっ……!」

 「だ、大丈夫、お兄ちゃん!?」

 「へ、平気だ。それより……胸が大きくなった原因だけどな――」

 「え、原因分かったの!? お兄ちゃんすごいっ……❤ それで、何なの、教えてっ♡」

 

 と、ユウが胸をさらけ出したまま、俺の肩に触れる。

 

 うわぁ……すげぇ良い気分……。

 

 で、でも! こんな純粋なユウを、裏切るわけにはいかない……! 俺は、覚悟を決めた。

 

 「その原因は、俺が……っ!!」

 「お兄ちゃんが?」

 「――じゃ、なくって。えーと、ほら、その、なんつーの? やっぱ成長期だし、ちょっと肉がつくことくらいよくあることなんじゃね? だから、あんまり気にすんなよ? あはははははっ」

 

 決めたはずの覚悟は、消えた。

 

 な、なんて意思が弱いんだ、俺はっ……!

 

 「そ、そうなの……かなぁ?」

 「あぁ、そうともさっ! あ、そうそう、でももしかしたら、おっp……胸が凝っているのかもしれないぞ!? よかったら、お兄ちゃんがマッサージしてやるよっ」

 

 ――と、言葉巧みにユウを騙し、弟の美麗な胸を揉みしだくという恩恵に浴しているわけなのだ。

 

 大体、何だよ「胸が凝る」って……。そんなことありえるのだろうか? 凝るほど胸がないので、分からないけど。

 

 でも、ユウはコロッと信じてしまったのだから、仕方ない。こうなったら、存分にオモチャにしてやろう……。

 

 胸をさらけ出したまま、ユウはベッドに横たわっていた。俺が、その上に馬乗りになる形だ。

 

 親指と手のひらを使い、しっかりと揉み解していく。

 

 「どうだ? 凝ってるとこをほぐされると、気持ちいいだろ?」

 「う、うん……❤ ちょっと、気持ちいい……かモ♡」

 

 ぐりぐり、むにゅむにゅっ。

 

 「んンっ❤ はぁぁぁぁぁぁァ……~~~っ❤」  

 ユウは、胴体をえびぞりにする。目に涙を一粒にじませつつ、甲高い声で鳴いた。

 

 ……あのー、これは、あくまでマッサージだからね? それ以上の意味は何もないからね?

 

 「ほらほら、まだ胸が凝ってるぞ? もっとスッキリさせないとダメじゃねーか」 

 「はぅ、あ、ぁ……っ❤ ご、ごめんなさ……いっ!?」

 

 ユウの頭と胸を、同時にサスサスっと撫でてみた。

 

 「ふわぁぁぁっ……❤ く、くすぐったいよぉ……っ❤」

 「えっ、何? これじゃスッキリできないって? おっけー」

  

 一度柔らかくした刺激を、再び強くしてみる。あざが出来そうなくらい、胸をぎゅうううっと揉んだ。

 

 「ンっ❤ ンひゃアアあああぁぁぁぁぁ~~~~っ……❤」

 

 その落差に驚いたのか、ユウはひときわ激しく、人の心拍数を激増させる艶やかな声で叫んだ。

 

 声優やってるだけあって、やっぱりすごい声だ。そんな大声が何時間も、夜の和泉家に響き渡るのだった。

 

 ……うちの両親って、難聴なのかな?

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